メタボンの行きあたりばったり

昨年定年退職しましたメタボンです。毒を吐きます。

松茸、焼いて食べたい

家の山には松茸がでる。

f:id:s-dai101030:20171023184234p:plain松茸は土中から出ているが

枯れ葉が覆いかぶさっているため、素人では絶対に探せない。

 

松茸は味噌漬けにしたり、焼いて醤油をたらして食べると

美味い。

 

山が脆弱になった昨今、松茸の需要はあがり、高値で取引される。

昔は山の持ち主が盗られないよう爺、婆に一晩中見張らせていた

ときいている。

 

松茸は一定の場所にはえる。その場所は山を継いでいく人に

持ち主は教える。

 

母ちゃんは山が好きだった。

春はわらびをとり、秋は松茸とりだ。

山は険しく、岩場もあり、雑草が生い茂り、沼地で足をとられる

こともある。

何に出くわすかわからないし、山は方向感覚を鈍らせる。

 

老いてからは、老人車がなければ歩けなくなった母ちゃんだけど

車で山まで送ると、サルのように登って行った。

松茸があると満面の笑みを浮かべ、車で待機中の私に見せる。

帰宅すると、計量器ではかり、良い物だと市場にだす。

老人は現金があると元気だ。

 

松茸は貴重品ではあるが、栄養素が高いわけでもなく、満腹になることも

なく、香りを楽しむだけのものだ。

しめじにインスタントの松茸の汁を混ぜて、松茸ご飯だよって

言っても、若い人なら「そうなんだ」って、きっとばれないと思う。

 

 

この季節、松茸は贈り物として重宝だ。

姉たちが明日、松茸とりに来るらしい。

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一週間前から胆嚢炎のため絶食している母ちゃん。

目を閉じて寝ているので、ベッドサイドの椅子に腰かけ携帯をいじって

いた。

しばらくすると目を開ける。

「誰かわかる?」

「〇〇ちゃん」小さな声で返事する。

「明日、〇〇(姉たちの名前)が松茸とりに来るって」

「食べたいな・・焼いて食べたいな」

「腹、痛い?」

「ちょっと・・」左腹に手を当てる。

(なんで左なんやろ?)

「〇〇(姉の名前)に松茸の場所、教えといて良かった」

小さい声で母ちゃんは話す。

 

きっと体重がまた減ったと思う。

絶食すると嚥下運動が低下する。

 

施設の医師が声かけてきた。

「今はねぇ熱がさがってきたので、そろそろ食事開始しようかと

思います。」

「よろしくお願いします」と礼を言う。

 

 

人はなにかの病名を付けられて、治療を受けながらも弱っていき

死ぬ。

90歳でも元気な老人もいるけど、母ちゃんもそれなりに長生きした。

幸せなほうだったか、不幸だったか計れない。

 

幸せだったと思えるように、私、面会に来てお喋りするね。