メタボンの行きあたりばったり

昨年定年退職しましたメタボンです。毒を吐きます。

「熱があって、今朝まで酸素してたんです」

久々に母ちゃんの様子を見に行った。

いつも行っているので、何日振りか分からず、

調べたら、なんと6日振りだった。

 

ごめん、ごめん。

日、空きすぎたかな。

 

でも、毎日行くと、チェックしているみたいで

施設の方に悪い気がして。

 

だいたい、食事の時に行くようにしている。

 

私のかばんの中には、母ちゃんの好きな桃や

ぶどうのゼリーが入っている。

 

食事するのが嫌な母ちゃんだが、ゼリーは

目を大きく開け「美味いわ」って言う。

その言葉を聞くのが私の楽しみ。

 

「どうですか? 食べてますか?」職員の方が声かけてくる。

「大丈夫でーーす」と答える。

「熱があって、今朝まで酸素してたんです。今は微熱ですけど」

(良い職員の方だ。向こうから状態を教えてくれる。

   熱つづいてるなぁ)

 

 

母ちゃんはギャッジアップ70度くらいの座位になっている。

 

左肩にクッションかましてある。

そのため姿勢が右側に傾いている。

 

ベッドを起こす前に、クッションをはずし、座位にしてから

体が傾かないようタオルやクッションで補整すれば

良いのだが、そんな面倒な事はお願できない。

 

病院と違い、施設では医学的レベルが低い。

逆に、施設の職員は明るくて良いとさえ思う。

 

 

「私、死にます」

 

いつもの口癖だ。

「なんで?痛いから?」

 

母ちゃんは首を振る。

 

「動けんから?」

うなづく母ちゃん。

 

「みんなに会えなくなるよ」

「もういい・・」

 

「死ぬのと、家帰るのとどっちが良い?」

「家」

 

「だったら、食べて元気つけよう」

食べ物を見ると、右手を振る。

 

右手を掴んで握手する。

左手は麻痺があるから弱い。

「両手ばんざい」と号令かけると

右手を胸元まで上げる。

 

「水飲むか?」

口を開ける。

嚥下に時間がかかるようになった。

「はい、もう一杯」口を開ける。

 

「いつ死ぬ予定や?」

「ついたちです」

 

母ちゃんが日に日に弱っていってるのは知っている。

 

熱の原因がはっきりしないのが気になる。

どこかに炎症を起こしている。

 

もう一度、母ちゃんが外泊する日が来るのだろうか

 

レンタルのベッド、オーバーテーブル、使用者不在のまま

月4600円の支払い。

 

願掛けだ、レンタルは継続しよう。

 

帰る時「バイバイ」と手を振ると

母ちゃんも右手を振る。