10月から発熱で絶食、点滴治療をしている母ちゃん。
やっぱり、今日も点滴がぶら下がっている。
近寄っても目を開けない。
体に触ると、やっと目が開いた。
「なんか食べたい」細い声で母ちゃんが言う。
「あめ・・」続けて喋る。
熱はなさそうだ。
私は麻痺した左手の曲げ伸ばしをする。
「痛い・・」
「ちょっと動かしといた方が良いよ」
関節拘縮予防だ。
左親指はすでに内側に曲がってしまっている。
施設の職員の方がアイスノンを持ってきた。
「7度2分ですけど、冷やした方がいいかと思いまして」
私にそう言いつつ、母ちゃんの頭を挙げ、アイスノンを置いていった。
点滴は左足首に入っている。
足背浮腫があるが(深く考えないようにしよう)。
「左胸しんどい」
(そうきたか、甘えて言っている?)
母ちゃんは左胸に手を当てている。
(動くんや、右手)
私も一緒に左胸を撫でる。
母ちゃんは元々、心房細動、狭心症がある。肝硬変もある。
右足には血管狭窄があったためステントも入れている。
元気な頃は抗凝固剤、血管拡張剤など数種類飲んでいた。
昨年1月。腹痛が続き、食欲が落ちてきたので
大手の総合病院で胆道の泥が原因の発熱であり、内視鏡で泥は
取ってもらえた。
退院間際の2月。脳梗塞を発症した。
心房細動によって血栓が脳動脈にとんだ。
リハビリを2月して、4月終わりにこの施設に入所した。
母ちゃんに「家には帰れんよっ」て、言ったかどうか
私は覚えがない。
施設に入所しても月に3日外泊を続けてきた。
家では自力で座位になり、箸を使って好きな魚を
上手に食べていた。
そんな頃もあったのに、今は弱って、寝返りさえできない。
血栓予防の薬は絶食中の今、どうしているのかな?
多分、投薬中止だね。
今年の5月頃まで心臓や、認知の貼り薬あったけど
ないから、「どうしてって」職員の方に聞いたら
「先生に確認します」ってそれっきりになった。
病院と違うところで、騒いでも仕方がない。
「母ちゃん、11月や。早いね。11月の誕生日誰やった?」
母ちゃんは自分も含め、家族の誕生日を答えるがでたらめだ。
数人の職員の方が部屋に来た。
オムツ交換なのかそれぞれが、バケツを持参している。
長居は邪魔するので帰ることにした。
「ばいばい、またね」と手を振るが、母ちゃんは反応しなかった。
(胸しんどいって、血管つまってないと良いけどな)
明日、様子見に行こう。