メタボンの行きあたりばったり

昨年定年退職しましたメタボンです。毒を吐きます。

悪い奴が姿をあらわした、カウントダウンが始まった

朝、9時電話が鳴る

「もしもし、のり子だよ」

 

カナダに住む親せきだ。年は70歳ほど

うちのおばあちゃんの妹の子供

 

通訳の仕事をしていた時に、今の旦那(イギリス人)と

結婚し、カナダで手広く商売している。現役だ

 

「みんな、元気かい?」

「はーい」

「来年帰ってくるから、みんな集めて顔見たいんだ」

 

カナダは今、何時かしらないけど、タフに喋る

 

「蔵あんだろ?あそこの茶碗使うよ。」

うちには金にならない明治時代の茶碗が多量にある

一度、骨董屋に持って行ったが、鼻で笑わられた

 

のり子さんは、最近、私の住む町に空き家を買った

1800万円

 

ガレージは車3台余裕で収納できる

 

防犯カメラが装備してあり、カナダにいても

家の様子がわかる 

                                       庭の手入れは、家の近くの知人に依頼している

知人は、草刈りが済んだら、今度はガレージの塗装を依頼

されている

 

かあちゃん、元気かい?」

「熱でたから入院する」嘘をつく

 

10時、ドコモショップが開店するのを待って

町にでかける

 

担当になった店員さんはLINEを使えるようにしてくれた

 

ここの店員に、若造がいて、落ち着きないし、人を馬鹿にする目を持っている

携帯にも詳しくなく、私は若造が出てきたら、担当から

はずしてもらう決断をしていた、だって、生意気なんだから

 

自宅に寄り、ハンコ、時計など母ちゃんの入院に必要かなと思う物を

準備する(姉のハンコは勝手にシャチハタで購入してある)

 

愛犬が好きをみて、寝室から出ようとしているが、足で蹴って

ドアには寄せ付けない

 

母ちゃんが施設者で搬送される予定の、N市についた

12時、待っている間に眺めの良い、ラウンジでコーヒーを飲む

 

やがて、姉の姿が見えたので「こっち、こっち」と手を振る

姉とどのお店のどの料理が上手いとか、のり子さんの話とかしていた

 

受付の方に「母はまだ着いていませんか」と訪ねると

「先ほど、到着され、今、診察中です。暫くお待ちください」

 

待っている間に、いろんな用紙を渡され、書いたら

看護師に渡してくださいと言われる。

 

看護師が出てきて「先生からお話があります」と案内され、部屋に入る

小柄な中年医師だ

 

長くこの病院に勤務しており、嫁さんはここらへんの人をもらったと

噂がある

 

真面目な良い先生だ

 

「今、造影CT取りました。膵臓の頭に癌が、病理に出していないので

確定しませんが、おろらく癌でしょう。腫瘍マーカーが5000あります

癌に圧迫されて、胆嚢が大きくなっています

f:id:s-dai101030:20171115193016j:plain

胆嚢の中には胆汁があって、これが癌の圧迫で流れない。ほうって置くと

危険なので、胆汁を流すためのステントを入れます

これは、近じか行います。

癌のほうは、取り切るとなると、かなり危険を伴う手術になります

80歳以上の方にはお薦めしません。

また、癌がからだの栄養を取り込むため、腹や胸に多量に水が溜まって

います

体のナトリウムが低いですね、これがもっと下がると意識がなくなります」

 

姉と私は電子カルテを凝視し、先生の説明を聞き逃すまいと必死です。

 

「なにか、ここまでで質問はありますか?」

できた先生は家族に気遣いしてくれます

 

血液サラサラ薬飲んでいるか分からないんです」

(出血するような処置があると、血が止まらないかもしれない)

 

脳梗塞してるし、鼠蹊部にステントも入っていますしね・・」

元々、心房細動による脳梗塞です(重篤な状態なのにくだらない事を言った)

 

「心臓の薬も飲んでいたのか分からないんです」

(またまた、どうでも良い事を言った。私達の後ろでメモっているスタッフ

さんが施設職員と気が付いたので、この際、服薬管理について不満をだしたのです)

 

「心臓に貼る薬は5月頃から、なくなっていました」

(ここまできたら、どうでもいい・・報告すれば?)

 

あの、小憎らしい施設の先生の顔が浮かびます

肺炎を私のせいにした

絶食でも薬ぐらい飲ませていいんじゃない?

 

「あの、先生。母ちゃん血管細いので、太い血管から刺すような事は?」

「それは、後からでも考えましょう」

 

「私たち、前から、眠るようにスーと逝ってくれればと思っています

呼吸が止まっても、そのままで良いです」

 

 

母ちゃんは私達を見つけると、手を振る

「なんか食べたい、のど渇いた」

 

酸素をしていますが、今日は声も大きく、良く喋ります

 

泣きたい衝動にかられます

 

母ちゃんの病状を知らせなければいけない人がいます

 

今はちょっと無理

電話で話すと泣くから

 

案内された病室は4人部屋です

顔を見下ろしていた姉に向かって「あんたの鼻の穴、横に広がっとる」

「のどかわいた、なんか持って来い」

「帰ろう、帰ろう、帰ろう」

 

いつもと違い、元気、喋り続けます

 

看護師さんが両手万歳と声かけると、右手を上に挙げます

左手もちょっと挙げます

 

「帰るって、どこに帰る?」

「うち。家行きたい。」

「だめねん、入院したんや」

「死にます、死にます」

「まだ、早いって」

「生まれ変わります」

「生まれ変わるって、どこに家に生まれるつもりなん?」

「〇〇〇」母ちゃんの実家の名前を言います

 

腹の水がいっぱいだと先生が言ってましたが、触ると平坦です

足はむくんでいます。

 

甘えた声で喋って、指示があれば手を動かす 

 

母ちゃんは、人が集まり、自分が注目されることが好きな人です

いつもは細い目を丸くしているのは、嬉しいからです

 

生きるための臓器がやられているので長くは持ちません

 

「帰るわ、バイバイ、またね」母ちゃんは右手を振ります

 

 

私は早く一人になりたかった

泣く場所を求めて、運転した

これから準備しなければならない事がいくつかあるけど

今日は休憩

 

 

 

 

 

ブログランキング・にほんブログ村へ