メタボンの行きあたりばったり

昨年定年退職しましたメタボンです。毒を吐きます。

絶妙のタイミング、慌てふためく男と息を呑む女達

 

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女は食べること、喋る事、買う事が大好きだ。

これは、慰安旅行で三つとも叶えられる。

 

場所はよく覚えていないが職場の慰安旅行に参加した。

 

あらかじめ、仲良しさんを誘っているから最高に楽しい。

 

広い駐車場に観光バスは止まっていた。

席は自由だ。

 

老いも若きも鼻を膨らまして乗り込む。

 

仕事じゃない、自由な空間。金も持ってきた。

 

みんな、喜びで半分壊れかかっている。

 

そんな奴らを監視するのは、事務職員の方だ。

仮にK君と呼ぶ。

 

このK君、真面目で誠実。若干、男前。背も高い。

有能な方である。もちろん、妻子あり、家庭円満。

 

女の旅行カバンは大きく、重い。

 

化粧道具、あれこれに応じた服数枚、靴下、いざという時の下着数枚

車中で食べる菓子類、常備薬、何故かビニール袋、折り畳み傘、

 

読書好きは、読みかけの文庫本を入れる。

 

私は、着古したパジャマ持参だ。

旅館の浴衣は、スカスカして不快だから。

 

行先は知らない。

みんなについて行けば良い。

 

仲良しさんと並び、たわいのない話で盛り上がり続ける。

 

車内は女の甲高い声が響きわたる。

 

いっせいに菓子袋がやぶける音がする。

 

飴、菓子が前の席から、横の席から手渡される。

うっかりしてはいけない、今度は後ろの席に手渡す。

口と、手の運動が同時に行われる。

 

男は慣れたもので、女の話に割り込まない。

 

男はひたすらビールを飲む。

「辛い事あったんですか?」って聞きたくなる程。

 

サービスエリアに寄ると、女はおしっこを素早くだし

土産もの売り場に走る。

 

出発して間もないのに、もう売店のソフトクリームを

買ったり、饅頭を頬張る。

 

楽しくてしかたないんだ。

 

はめをはずすのが慰安旅行。

 

K君はバスの窓から老若男女の様子をチェックする。

 

バスガイドさんは、人数確認だ。

 

誰もバスガイドさんの話は聞かない。

バスガイドさんも合点している。

 

色んな名所を巡って、宿泊地に到着する。

 

まずは部屋の点検だ。

ふすまを開けたり、座布団に坐ったり、窓からの景色に

歓声をあげたり、野獣だ。

 

ちょっと落ち着いている子が、みんなの貴重品を預かる。

そんな係が事前に決まっているわけでもないのに

落ち着いている子は、貴重品が入るちょうどいいサイズの

袋を持参しているんだ。

 

さぁ、宴会が始まる。

 

旅館という箱に入れれば、K君の役目は終了。

適当に酔って食べて笑う。

 

仲良しさん達は、それぞれ塊になって行動する。

 

宴会の次は、風呂だ。

 

私達もアメニティグッズを準備してエレベーターに乗り込む。

 

エレーべーターが2階にとまり、戸が開いた。

 

鵜野君が立っていた

 

鵜野君は40歳、レントゲン技師だ。

鵜野君と親しいわけではないけど、私は彼のジョークが好きだ。

頭の良い人だと思える。

 

瞬間、時間が止まった。

 

観客は私達。

演じたのは鵜野君。

 

彼の浴衣が、はらりとはだけた。

 

彼が驚いた顔になり、慌てて、帯を探す様子

私達は、息をのみ、一人の役者の演技を見ていた。

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鵜野君は、黒いパンツを履いていた。

 

帯が上手く捕まらず、鵜野君は飛び跳ねている。

 

「あれ、あれ・・!」慌てふためいている。

彼はおちゃらける人ではない。

 

絶妙なタイミングで、帯がはずれたのだ。

 

「おかしいな、おかしいな・・」彼は明らかに動揺している。

 

はだけた浴衣を整えながら、彼は私達と交代しエレベーター

に乗って行った。

 

我に返った私達、ドッと笑いだした。

 

鵜野君の一部始終をコマ送りで見てしまった。

笑死にするくらい、笑った。

 

旅行は一泊二日。

みんな、お土産を買いだす。

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有名な、人気店のチョコは欲しいが、人が並び

値段が高いので買うのを諦める。

 

バスに乗ると、K君がみんなにチョコを配りだす。

女はキャー!て叫ぶ。

 

彼は、多分、みんなが右往左往している時に、チョコを

買うため並んでいてくれたんだ。

 

K君のファインプレーは、その後も続き

騎士のように、バスの中を歩き、名物菓子を配っていた。

 

ありがとう、楽しかった。

鵜野君をはじめ、私と付き合ってくれたお友達。(またね)

 

 

 

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