矢は放たれた、が、失そう。 そして２０年後の驚愕の事実
女に生まれて良かたって思える日
鏡を見ながら。
女はその日に向け、密かに自身を磨きあげている。
そして、
獲物が食らいつくのを、お待ちするのだ。
後輩君達はパーティを盛る上げるため、色んな企画を用意している。
浮かれた先輩たちは、酔って、気軽だ。
みんな遊びたい、発情期だ。
私がＴ君に恋していたのも、知っていたんだろう。
今の時代はないのかもしれないけど、
後輩君たちは、「ベストカップル」っていうのを
発表したんだ。
Ｔ君と私の名前。
「なにを基準にした！」とライバル関係のＡ子ちゃん思ったかも。
意外に私って、後輩君たちから好かれていたのかも。
（殴らないで下さい）
後はこんな感じかな。
Ｔ君って本当に男前で、見惚れて、腰砕けそうになるほど。
「どう、うちの」って、歌舞伎のように見得を切りたい程。
お正月には、着物着て映画を見たり
川ぞいを散歩したり。
後輩君たち、ごめんね、お膳立てしてくれて。
お付き合いしんどかったわ、素敵すぎたから。
これがＹ君だと何でも言えたし、私の子分のように使ってた。
Ｙ君はいいところのお家で、おぼっちゃん。
お父様の愛人が経営するスナックにも私達を招待してくれて。
嫌味なところなくて、親切。良い人だった。
ただ、色白で背が低くて、目が細く、毛が薄くて、海水浴に行ったって
聞いた時には、大丈夫だったかな、頭って。
外見を重要視していた頃の私を、いま思えば、馬鹿だったと思う。
Ｔ君とは転勤を機に自然消滅。
Ｔ君のその後の事は知らない。
Ｙ君とは、１０年後に彼のファンの集いがあって再会。
女２０人にＹ君１人。
相変わらずいい奴だった。人望あるね。
黒子さんは、その後、元々の彼氏と結婚。
白子さんは、さんざん遊んだ後、地元に帰り、地味に結婚。
ーーーーー
私は研修で長野に行った際に白子さんと再会した。
実に２０年振り。
黒のベレー帽をかぶり、黒っぽい服を着ていた。
昔のようなみずみずしい肌ではなかった。
ただ、喋りだすと、昔と変わらず大きな目が色っぽい。
旦那が、内気なため村の会合には、ジャージ姿で参加すると。
村をしきっている様子が聞いていて、分かる。
おこさんの写真を見せてもらうと、綺麗な子供さん達だった。
「旦那に似なくて良かった」と笑う。
急に、声をひそめ「今ね、役場の人と関係中」
（相変わらず・・でも、すごいな・・）
さらにさらに、昔話からＹ君の話題に。
「付き合っていたのよ」
「えー！ウソ！」
「旅行に行った先で職場の人に見られたの」
「えー・・・！」
「今はね、年賀状だけかな」
どいつもこいつも、この女にやられて、Ｙまで？
すごいショックでした。
あの不細工なＹがちゃっかり、こいつと仲良くしているのか！
２０年ぶりに知った事実。
こいつらと再び、関係をもったのは、１０年前ほど。
「会議で、（私の住む所）そっち行くから」
「じゃ、仕事休む段取りとるから」
「だめよ、Ｙ君と会う予定」
こいつら、まだくっついているのか！
