美・サイレント＆４９日法要参列予定者の病状確認
今日は、亡き父ちゃんのお友達であるGさんのお見舞いに
行く予定。
父ちゃんが死んだ後も、なにかと我が家のお世話をして
頂いた。
我が家のお友達として４９日法要に参列して欲しい。
今、Gさんに死なれては困る。
我が家には山がある。
山の木を売り、昨年は１５０万円程のお金が入った。
業者さんに委託する時に、Gさんがいないと困る。
山には、囲いがあるわけではない。
生き証人が、「ここからが〇〇の山、ここのこの木を
切ってくれ」と木を切る業者に指示しなければ
ならない。
Gさんは、亡き父ちゃんが大事に育てた山を
知っている。
切り頃の木であるか否か、判断できる。
Gさんは生き証人。山の境目を知っている。
うっかり、隣の山を切ってしまったら
大参事になる。
Gさんに死なれては困る。
Gさんが年明けから入院していると
噂があった。
町の病院に。
医学的水準が低いから、元気な病人は
他の町の病院に行くのに。
Gさんは、頭の良い人だ、どうしたんだろう？
Gさんの奥さんに聞くと、胆石だと言う。
朝、シャンプーをする。
顔を洗う、化粧水をつける。
できれば、頬がたるんだ顔にシャドウで
引き締めたいところだが、そんな技術はない。
ファンデーションべたぬり。
薄い眉を描く時、失敗は許されない。左右対称に。
まぶたにシャドウを入れる時間が来た。
私はこれが分からない、何の効果を狙ってなのか。
先日、テレビに荒川静香さんが出演していた。
トリノオリンピックで金メダルを取った方。
画面がオリンピックの映像に切り替わる。
彼女がフリー演技に入る直前の顔が綺麗だ。
彼女の衣装は、青と水色の斬新なデザイン。
彼女のまぶたには、薄紫のシャドウがぬられている。
色の統一感があった。
衣装に合う色はあのシャドウが必須だ。
演技直前の美・サイレント
彼女は優雅に舞、ぶれることなく、高難度の技で
得点を重ねる。
回転しながら、指先で感情を表現する。
得点に結びつけないイナバウアーで会場を沸かす。
女性らしい美しい演技、感動。
コンパクトには白、薄水色、ブルー、紺と
4色入っている。
使い方わからず、ブルーをぬり、こする。
母ちゃんの葬儀後に全員で撮った写真を封筒に入れた。
その封筒にお見舞い金袋を重ねて入れた。
村では、お見舞いには、お金を渡す習慣がある。
（花も持っていこうかな）
町で一軒だけある花屋に電話する。
「今日開いてますか？」
「休みだけど、なに？」
「お見舞いの花が欲しいんですけど」
「何時頃くる？、用意しとくよ」
「小さい籠にはいった奴、2000円くらいで」
「生花、プリザーブド、石鹸で作ったのもあるよ」
「おじいちゃんだから生花で」
病室に入るとちょうど昼食中だった。
ラッキー、どんな食事食べているか確認できる。
Gさんは、ヨーグルトを食べていた。
「お父さん、調子どう？」
私は誰でも、お父さん、お母さんと呼んでいる。
おじいさん、おばあさんはこれで機嫌が良くなる。
「正月から大変だった。胸がしんどくて」
Gさんは大病院や町のクリニックにも行ったが
どうもないと言われたらしい。
自覚症状がおさまらず、町の病院に流れ着いたらしい。
「そしたら、胃に何かできているらしくて
その日から絶食して、点滴や。」
（おかしいな、胆石と聞いたけど・・？）
Gさんは会話中も食事を止めない。
器用だ。（元気そう）
お膳には、重湯、味噌汁、かぼちゃの煮物などが載っている。
「お父さん、これ、この前の写真、横のほうに写っているよ」
封筒から写真をだして、Gさんに見せる。
Gさんは、メガネを取り出し眺めている。
封筒の中の、見舞金が入っている封筒をすこしずらして
「お父さんには、いつもお世話になっています」
（見舞い金の封筒見えたかな、も少しずらして見せようか）
49日法要の参列可能か聞きだしが難しい。
「お父さん、いつ頃退院できる？」（直球です）
「わしゃ、今週いっぱいに退院する気や」
「えー、先生は了解してるの？」
「いや、長くおるつもりない」
「お父さんの席だけど、〇〇さんと〇〇さんの間に準備したけど」
「おぅ、わしゃどこでも大丈夫や」（体力あるかな）
「お父さん、この花、一週間、水やらなくていいからね」
「おぅ」
Gさんは終始笑顔。
Gさんはいつも穏やかだ。
ナースセンターに知り合いが勤務しているので聞いてみた。
「ねぇ、Gさん胃にできものがあるって言ってたけど
私は胆石って聞いてるんだけど、どうなの？」
「胆石だけど」
頭の良いGさん、胃と胆嚢を言い間違えたのかな？
見舞金ちゃんとしまったかな？
49日法要までに、退院できるかな？
できても飲めないね。
