メタボンの行きあたりばったり

昨年定年退職しましたメタボンです。毒を吐きます。

ハチメの塩焼き

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スーパーで食材を買う事が多い

 

野菜、キノコ、こんにゃく、豆腐、卵、肉、

など

 

魚を買う事はほとんどない

 

鮮度の良し悪しが分からない

そもそも骨だらけで身が少ない

 

さばくのも面倒だ、シンクが汚れる

調理器具が魚臭くなる

 

煮るか、焼くか、刺身か

魚料理のレパートリーもない

 

スーパーの魚は、絶命してから

数時間後、または数日後の物

 

素人だからどの魚が

美味しいのかわからない

 

朝とれ」とシールが貼ってあると

新鮮なのかと買う事もあるが

 

家でパックを開けるとシナーっと

身がたるんでいる事が多い

 

町の商店街はさびれていて

道路を歩いている人はいない

 

それでも、読経の前日になると

私は商店街の花屋と和菓子やさんに行く

仏壇にお供えするために

 

ある時、商店街を運転中

魚やさんを見つけた

 

興味本位で小さな店内を覗く

3人の老女が椅子に座っている

 

一人の老女が調理台で魚をさばいている

老女の足下には、発泡スチロール箱が1つ

置かれていた

 

氷の上で跳ね上げる魚たち

ショウケースの上にも発泡スチロール箱が

置いてあり、魚が口をパクパク開けている

 

生きている、いや瀕死の魚始めて見た!

 

私「お母さん、生きてる、凄いね」

魚や老女「あんた見た事ないの?

 

私「凄いわ、凄いわ、何にして食べたら良い?」

奥に坐っていた老女①②③が私たちを囲む

 

老女①「ハチメ、これ煮て食べてよ

うまいよ」

私「魚さばくのが面倒だね」

 

老女②「それは、言えばさばいてくれるよ」

魚や老女「いくつ欲しい?

 

私「煮魚って、沸騰してから入れるんですか?」

 

過去数回、煮魚に挑戦しているが味が決まらず

調味料の継ぎ足し継ぎ足しで、ツユの多い

味のしみていない悲しい魚料理になっていた

 

老女③「味付けしてから魚入れて、火をつけるんだ

落し蓋をしてね」

 

ハチメ2匹買った

 

私「いつも営業してますか?」

魚や老女「月曜だけ

 

奇跡的な出会いだった

 

魚が生きているのも感動だが、老女たちの

教えも頂けて嬉しかった

カレンダーに書く「毎月、魚」

 

月曜 朝9時過ぎ、町の小さな魚やに到着

魚や老女が店内をホースで洗っている

奥の椅子には老女④が座っている

 

私「あれっ、魚がない。いつ来ますか?」

魚や老女「9時半ごろかな・・」

魚や老女は店内を磨くのに忙しいそうだ

 

「待つか」私は奥の老女④のそばに行った

立ちながら老女④に話しかける

 

シャイなのか、ノリが悪い

私が聞いたりしても返しが悪い

 

警戒しているな、私が何処の誰か

知らないから

 

田舎ものはよそ者を受け入れるまでに

時間がかかる

 

どんな人か、どんな仕事をしているか

何人家族かなど、情報不足だと

不安がる

 

目の前に立つ人の、抱えているものが

見えないと不信感がつのる

 

魚や老女「あんた、この間、ハチメ買った人だね」

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私「うんうん、上手くハチメ煮たよ

今日もハチメ欲しくてね」

 

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一台の軽四が店に停まる

中から若いお兄さんが

発泡スチロール箱を降ろし出す

 

 

 

 

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ハチメ、かれい、イワシ、するめいか、あとは分からない

車内には、貝類、干物がのっている

 

・・と新しい老女⑤が背後からでてきた

・・とまたも背後から老女⑥が現れる

 正面からは老女⑦が軽やかなステップで登場

 

自動車が右折し、魚やの前で停まる

初老の男性が降りて来て、タコを沢山買っている

 

私「そんなにたくさんどうするんですか?」

よく見れば、その男性、同級生のタキカワ君だった

彼は家業の食堂やさんを継いだ

 

覚えてくれてるかな?

彼の店に20年前に食事に行った事がある

 

あの時、私は痩せていた

こんなに顔が垂れていなかった

 

タキカワ君は笑みを浮かべ「おめぇには

関係ないの」そう言って新聞で

私の頭をはたいて行った

 

老女④「あんたにタコは扱えないよ」

老女⑤「かれいのから揚げ、美味いよ」

 

老女⑥「するめいか、バター焼きうまいよ」

魚や老女「ハチメ今度は塩焼きしてみれば」

 

一瞬、納屋にある水槽に泳ぐかれいが

見えた

ペットまたは食材として泳がそうか・・

 

 

私「魚って冷凍にしても大丈夫ですかね」

老女⑤「あたしはしないね、味が落ちるね」

 

老女の意見を尊重し、ハチメとするめいかを

買った

 

かれいのから揚げは来週だ

魚や老女「いかのわたはどうする?」

 

 

老女たちと少しづつ仲良くなった

長く生きてきた人には、地についた

生活の知恵がある

 

これからも付き合いたい老女たち

 

 

 

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絶命してから1時間後

身は硬い

 

オス、メスってあるのかな

死ぬとき辛かったかな

 

塩をふる

焼く

 

 

 

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身がはじけている

うまそう

 

 

 

 

 

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イタダキます

 

 

 

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