メタボンの行きあたりばったり

昨年定年退職しましたメタボンです。毒を吐きます。

紫の花とお婆ちゃん

f:id:s-dai101030:20180605202117j:plain

 

私だけかな・・

運転中、対向車を見て楽しむ癖がある

 

形、色・・やっぱり外車かっこいいいわ

     金持ちだね

    

     オープンカー、何考えとーる

     日焼けするぞ

     急な雨振り、どうするんだろ

 

     トヨタが多いなぁ

     多数って安心だよね

 

     チビなのにでっかい車に乗ってる

     ブレーキに足、トドクンカイ!

 

     赤の車、熱い女だね

     シルバー、汚れめだたないのが

     良いよね

 

     黒、怖い感じ

     ぶつかりたくないねぇ

     

      

人物  あっ、〇〇さんだ

    仕事帰りかな

 

    頭ふって、歌ットール

 

    すごい、髭剃りしている

    どんだけ忙しいんだ

 

    今年の流行りは、この服か

 

    お爺さん、まだ運転しているのか

    うーーん、田舎だから仕方がないね

 

    夫婦でお出かけか

    うっとうしいね、旦那って

 

ナンバープレート(これが大好き

    0511、5月11日が誕生日だね

    3104、サトシ、名前かな

    5963、ご苦労さんってか

    3332、惜しい、もうちょっとだったね

       1、一番になりたいタイプだね

 

     ナンバーを暗記するためゴロ合わせに

     夢中だ

 

 

若い頃、私のこだわりは

女、軽に抜かれたら、絶対に抜き返すだった

 

一度だけ、どうしても追い越せない女がいた

 

運転席の窓から出ている着物の袖

和装の女に負けるか!

 

アクセルを踏み込むが

並ぶのがせいぜいで

 

しかもチラミすると

なんと白髪のお婆さんだった

 

その車は氷上をすべるように走り去り

見えなくなった

 

 

・・・今でも、あのお婆さんに会いたい

なんで着物きて、急いでいたの?

 

最近はもうスピードレースしないけど

考え事したり、周囲を見渡したりするのは

変わらない

 

老眼のため近くは見えないが

遠くの物体ははっきり見える

 

N村を通った時、沿道沿いの畑に

紫の花たちを見かける

 

通り過ぎて、反対側の路肩に車をとめる

花を見に行こう

 

午後4時、時間はたっぷりある

天気も良い

気持ちも軽い

 

今来た道を100m程歩いて戻る

 

畑にむぎわら帽をかぶったお婆ちゃんが

一人、たたずんでいた

 

勇気をだそう

 

道から、畑に降りる

「こんにちわ」

お婆ちゃんに声かける

 

お婆ちゃんは返事もせず

私を見ている

田舎モンはよそ者を警戒する

 

紫の花はマリモのように丸い

大きさはソフトボールほど

茎が異様に長い

 

私「綺麗ですね、写真とっても

良いですか?」

 

お婆ちゃんの口が動いた

「あぁ、いいよ」と

反応きた

 

私「これ、なんていう花ですか?」

花を数枚、角度を変え変え写真を

撮りながらお婆ちゃんに聞く

 

「なんていう名前か、知らん

あんた、花好きなんか?」

棒立ちだったお婆ちゃんが動く

 

「好き好き、でもこんなの見た事ない

花屋にも置いてないよね、これ」

 

地に足をつけて

お婆ちゃんと向あき合う

 

午後4時、お婆ちゃんも

たっぷり時間があるはずだ

 

私「これどうやって育ててるんですか?」

婆「どうって・・、勝手に咲いとる」

私「初めて見たわ、素敵ですね」

 

紫の花が気に入った

とてもキュート

嬉しくてたまらない

 

お婆ちゃんが近づいて来た

婆「球根を春に植えとる」

 

もう貰う気でいるから育て方を

聞きたい

私「球根はどうやって保管するんですか」

婆「納屋の中に置いとけ」

 

私「肥料は何使うんですか?」

婆「普通や」

 

お婆ちゃんが鎌で花の茎を切り出した

 

私はしめしめという顔はしない

できれば球根ごと、まるごと一本頂きたい

 

お婆ちゃん、4,5本花だけ切った

婆「ねぎ臭いやろ」

私「そうかな?、でも良い花ですね」

 

婆「あんたどこの村のモンや?」

素性を知らないと不安なのだ

 

私「〇〇村の〇〇です、N村に友達います」

友達の名前をお婆ちゃんにつげると

婆「そりゃ 私の姪や」

私「偶然ですね!」

 

お婆ちゃんが笑顔になる

お婆ちゃん、今度は球根だけを切り出した

 

いえいえ、お婆ちゃん、花と球根

つないだままで

欲しいのですけど・・・

 

婆「町の〇〇さんもたまに

ちょーだいって寄ってくるよ」

私「珍しい花ですよね」

 

婆「咲かしたままより

もらってくれるモンがいる方が

嬉しいね」

 

花4本、球根2本、まるごと一本を

抱えて車に戻る

 

やってみないと何も始まらない

チャンスをつくろう

勇気をだして

 

今度、いつ会えるかな

 

お婆ちゃんが好きそうな

お菓子を考える

 

運転しながら・・・

 

 

ブログランキング・にほんブログ村へ