メタボンの行きあたりばったり

昨年定年退職しましたメタボンです。毒を吐きます。

コハルちゃんはおしっこがでない

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犬の死亡原因の一つに

フィラリア症がある

 

フィラリアという寄生虫が犬の体内で寄生し

やがて心臓に機能障害を起こす怖い病気だ

ファイラリアの幼虫をもった蚊に犬が刺されることで

発症する

 

フィラリア予防薬は蚊がいる5月から12月まで

服用させなければならない

愛犬の場合は草むらを散歩するのでノミダニ予防も兼ねて

ネクスガード」というのを飲ませている

 

月に一度、一粒だけ飲ませれば良いのだけど

簡単に飲んでくれない

 

手に乗せているだけでは愛犬は見向きもしない

たとえ口に入れたとしてもペッと吐き出す

ドッグフードに混ぜても、薬だけ器用に

吐き出す

 

一粒2300円もする

失敗は許されない、チャンスは一回きりだ

 

愛犬はチーズが大好きだから

チーズに混ぜて口に入れるが

これまた薬だけ器用に吐き出す

 

それで薬を小さく割って、チーズにくるんで

ゴックンするのを息を止めて凝視する

 

毎年飲ませるのに苦戦している

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いつもの町の獣医さんにフィラリア予防薬をもらいに行く

 

商店街もさびれ、若いモンがいない

滅びゆく田舎なのに

獣医さんがいるというのがちょっと不思議だ

 

戸を開けると

待合室に飼い主が数人腰かけている

それぞれがペットを抱えていたり

足元にキャリーバックを置いていたり

 

イラついている人はいない

 

穏やかな様子で診察の順番を待っている

 

見知らぬ人たちだけど

動物好きだというだけで親近感がわく

幼稚園でのママ友みたいみたいな感覚

 

どう育てているのか知りたい

隣に座っているご老女に話しかける

 

私「今日はどうしたんですか?」

ご老女「ネコが 交通事故に遭いまして」

私「えっ!それは大変ですね」

 

ご老女「うちの子が悪いんです、勝手に外を散歩する子でして           道に飛び出したんですね、きっと」

私「怪我したんですか?」

ご老女「はい、尻尾を切る手術をしました」

 

ネコは小さな隙間さえあればそこから

出入りし、気ままに外を出歩く

 

田舎の家は縁側、窓、裏戸、どこからしら開いていて

また玄関に鍵をかけない風習がある

 

ご老女の愛猫は事故後、自力で自宅に戻って来たという

ネコを跳ねた車の運転手さんが後で詫びに来たけど

うちの子もいけないんですとご老女は運転手さんを

帰したという

 

私「痛いですよね、それで歩けるんですか?」

ご老女「はい、元気です

でもおしっこが出ないんです」

 

尻尾を切ったとはどんな怪我だったのだろう

おしっこがでないとはなにが原因なんだろう

心因性、あるいは尿管損傷でもあるのだろうか

 

愛猫はおしっこを出すため毎日一回通院しているとのこと

ご老女「私の通院とこの子の通院と大変忙しいです」

 

動物はしゃべることができない

飼い主が、見て、触って、気づいてあげなければならない

 

ご老女は肝っ玉が据わっているのか

愛猫に起きた不幸をさらりとした口調で話す

 

診察室の中からご老女を呼ぶ声がする

愛猫の処置が終わったようだ

 

ご老女がピンク色のキャリーバックをぶらさげて

出て来た

 

キャリーバックからミャーンと可愛い鳴き声が聞こえる

「おかあちゃん、怖かったよ」って甘えているようだ

ご老女「コハル、帰ろうね」

 

受付の事務員が一万二千円ですと話しているのが

聞こえる

 

高い、毎日、こんだけ払ってますの?

家計にひびくよ!

 

ご老女はさらりと支払うと私に一礼して

待合室から出て行く

普通車に乗り込むご老女の青いスニーカーがお洒落だ

 

金持ちだね、きっと

 

 

 

一か月後、再び町の獣医さんに行った

今度は狂犬病の予防注射のためだった

 

あのご老女がピンクのキャリーバックを床に置いて

椅子に腰かけている

 

私「コハルちゃん、おしっこでましたか?」

ご老女「出ませんね、ウンコも出ないんです」

私「浣腸とかするんですか?」

ご老女「いえ、私が指を入れて出しています」

私「大変ですね、ご飯は食べてますか?」

ご老女「おかげさまでそれはちゃんと食べてくれます」

 

愛猫の介護はいまだに続いている

幸いにご老女は自然体の様子で

それが私の救いになった

 

コハルちゃん、もっと腕の良い獣医さんに

診てもらったらどうですかね

 

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