メタボンの行きあたりばったり

昨年定年退職しましたメタボンです。毒を吐きます。

ルーツ

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愛犬との散歩コースに一軒の空き家がある

 

私のお婆ちゃんの妹さん(大叔母?)が嫁いだ家で

旦那と子供3人で暮らしていたらしい

一家は後に埼玉県に移り、そこで小さな商店を営んでいたらしい

 

私が生まれる前の話だ

 

我が家に冠婚葬祭があると

私の知らない親戚が埼玉からやって来る

それが亡き大叔母の長男、次男だと認識したのは私が大人になってからだ

 

長男さんは明るく気さくな人柄で

聞けば高校生の頃までこの村で暮らしていたとか

 

だから長男さんはこの村に幼馴染もおり

定年退職後はたびたび村に遊びにやって来た

仲良しの弟さんといつも一緒だった

 

二人にとってこの村は故郷になるわけだ

 

さて

二人には今回の話の主人公になるリコさんという妹がいる

 

リコさんはT大学卒業後、イギリス人と結婚し

カナダに移住、ビジネスを起業し大成功したらしい

カナダにいくつも家があり、飛行機で

飛び回っているとか・・・

 

 写真でしかお目にかかったことはないが

顔立ちは彫りが深く目がパッチリしていて

外人のようにも見える

 

このリコさん、お年は72歳

長男さんの死後、入れ替わるように

ひょっこり我が家に顔をだすようになった

 

イギリス人のだんなグレイも一緒だ

 

背が高いイケメンなので

自転車に乗っていたりすると雑誌モデルのように見える

さすが外人、かっこいいワなんて思う

 

やり手で、マイペース、ストレートなリコさんとは

正反対の性格でグレイは穏やかだ

 

リコさんの話によると

両親が商売していたので商いのコツを知っていた

売れるものが勘で解るのでカナダで成功した

カナダに渡ったのは、国土が広くて空気が綺麗だから

埼玉も東京も人混みが苦手だったとか

子供達は会社を継いでくれないので

今後は会社を閉めるつもり

グレイはのんびり屋

貧乏な家だったので大学はリコさんの稼ぎでだしてやった

 

「プアファミリー!」リコさんがグレイをからかう

グレイが笑顔でうなづいている

 

リコさんは

村から15分離れた町のやまてに家を買った

インターネットで物件を探したそうだ

4月に帰国し

6月までの過ごしやすい時期だけ町で過ごす

 

老夫妻はアクティブに出歩く

近くの100均だったり、観光だったり

そのために車を買う

 

金持ちはケチだと良く聞くが

リコさんを見てるとそう思う

 

有効性がある事がらには大金を使うが

無駄金はださない

 

日本の自宅にある家具は全て骨董品で

リコさんの普段着は安物だ

庭の畑に生えている野菜でぬか漬けを作る

 

夫妻がカナダに帰っている間、家の管理は

町の電気屋の爺さんに依頼する

電気屋の爺さんは親戚でも専門業者でもない

家の電気修理に来ただけの爺さんで

その爺さんをリコさんは便利屋さんのように

使っている

 

夏は雑草刈、冬は雪すかし

家には防犯カメラが設置されており

カナダの自宅で見る事ができるようになっている

異変があると、電気屋の爺さんのパソコンに

リコさんから出動命令がくるわけだ

 

たいした謝礼は払っていないと思う

雑用処理に要した実費分だけだろう

電気屋の爺さんは外国航路の船員さんだったから

暮らしに困っている人でもない

 

カナダに住むリコさん

どうして日本の片田舎に家を買ったのかわからない

そして

両親が残して逝った空き家の修理を始めている

庭石が盗られないようロープを張っている

 

リコ「オラ、父ちゃんと母ちゃんの法事を

したいのよ」

リコさんは生家の思い出話に熱中すると

自分のことをオラと言う

 

両親の法事とは30回忌?50回忌?

 

リコ「父ちゃんと母ちゃんが建てた家だからね

残して置きたいのよ」

 

では、リコさんが空き家に住むのかというと

そこまでは直す気はないらしい

リコさんが生きている間は空き家を保存したいらしい

 

空き家にはアルバム、手紙、家具、茶碗など

多数の物品があるらしい

リコさんはそれらを少しづつ持ち出して

町にある自宅に運んでいるらしい

 

私も定年退職後、蔵にあった古いアルバムを

持ち出して来て眺めている

 

自分のでどころを確認してこれからの生きる道を考えている

 

お婆ちゃんの写真があり、私に似ているとも思うし

亡父にも似ている

血は受け継がれるようだ

 

ご先祖の大工道具が見つかり、捨てても良いし

あっても構わないし

 

自分自身を見直すために遺品、遺物が必要かなとも思う

 

リコ「ルーツが知りたいの」

町の役場では直近の戸籍しかないようで

我が家にあった昔の戸籍謄本をコピーして

リコさんに渡した

 

リコさんの想いは一部私にも理解できるから

想いを尊重したい気がする

 

だけどやっぱりついていけない

リコ「山の中にあるお墓ね、オラ死んだら

そこに入るつもりよ」

 

私「え?!、カナダにお墓ないんですか?」

リコ「移民だからお墓はまだないの

でも死んだら両親の所に入りたいの」

 

えーーー!・・・・

両親の墓って、暮らしていた埼玉じゃないんですか?

この村のお墓に骨を入れたんですね

 

そこにカナダからリコさんの遺骨がこの村に運ばれてくるんですか?

いったい誰が墓参りに来るんですか?

グレイも子供さん達も来ないよ

日本に、こんな田舎に・・

 

 

リコさんって我儘