昔はやんちゃでした
お盆、私達姉妹が4日前にお供えした花とは別に、赤、黄色、紫など色鮮やかなお花が墓にかざられていた。
線香の煙がかすかに見える。
「今年も来てくれたんや」と私は胸がつまる思いになる。
父ちゃんが亡くなって10年、その人は人目を避け、墓に花をたむけ続けている。
私の歳の離れた従妹だ。
長男だった父ちゃんは優しい人だった。叔母ちゃんの旦那が失踪した後、
なにかと叔母ちゃんの世話をしていた。
私は幼くて当時のことははっきり知らない。
でも、叔母ちゃんの長男がやんちゃで家出を繰り返し、その度に父ちゃんが奔走し連れ戻していたらしい。
叔母ちゃんには長男のほかに小さい子供が二人いて
私は一緒によく遊んでいた。
従妹は悪い道にも居たようだ。
おそらく、父ちゃんが必死になって連れてきた。
長く続いた荒れた生活だったが従妹は家族を持ち、まっとうな暮らしをするようになる。
でも、実家には寄らない。絶縁状態。
父ちゃんの死後、いつ来たのだろうか出会ったこともないがお墓に花束が置かれている。村では見た事もない、綺麗な花。
従妹なりの詫び、自分を心配してくれた父ちゃんへ想い。・・か?
昔、やんちゃだった従妹はきっと実家や私達のことを暮らしぶりを見守っている気がする。