メタボンの行きあたりばったり

昨年定年退職しましたメタボンです。毒を吐きます。

子供のいない老夫婦の遺産の行方

私たち同級生は60代

 

会えば年金や身体の不調

節約技、親の介護などで話が盛り上げる

 

学生時代からの付き合いだから

ゴム輪で前髪をくくっていたのも

セーラー服姿も覚えている

 

トイレは誘い合って行き

弁当は机を持ち寄り、かたまりになって食べていた

ニキビ顔を気にし、アイドルにうっとりして

かっこいい人の前では緊張バクバク

 

考えや身体もまだまだ幼かった私たちが

年月を経て今は人生の終わり方を口にするのが

なんかおかしい

 

先日、数人で集まった

全員が家族の誰かを亡くしている

このためお経をあげる機会が度々ある

笑ったのはみんな「正信偈」をスマホに入れていることだ

 

お経って聞きなれると

落ち着いた気分になれる

僧侶ギタリスト釈蓮楽 正信偈」私のおすすめだ

 

 

K子「私たち、子供いないから

私が死んだら遺産どうなるのかと考えているの」

 

一人っ子でお婿さんをもらい、家業を継いだK子たちには

子供が出来なかった

 

全員「そりゃ、旦那にいくんじゃないの?」

 

K子は一人っ子だけど旦那は3人姉弟

K子が死んだら、全財産が旦那にいって

 

その後、旦那が死んだら・・・

旦那の姉弟に財産持って行かれるってこと?

 

K子「だから私は旦那より長生きしたいの」

 

旦那の実家は農家なので米を作っている

田植え時期や稲刈り時期などにはK子もお手伝いに

行ったりして

旦那の姉弟とは年中付き合っているわけだけど

 

K子は母方の従妹に遺産が行く方がなんか良いらしい

血筋ってことで・・・

 

子供がいないからこの先どうするか

おいおい旦那と相談ってことですかね

 

 

隣のS子も子供がいない未亡人で

S子「ねぇ、私が寝たっきりになったら

誰が世話してくれるのかな?」

 

近くにS子の実家があり、兄貴が後を継いでいる

だけど兄貴の嫁さんが

母親の介護を良くしてくれなかったと恨んでいるS子は

兄貴の嫁が嫌いだ

 

S子は考えが足りない

 

病人の介護が果てしなく労力を要し、心の負担になることを

理解していない

 

排泄の世話

人はおしっこを日に最低4回する

便は臭い

 

おしっこの量や便の形状は健康状態を知る指標だ

だけど排泄物を処理するのは特別な人しかできない

 

どうしても舅、姑のおむつに触れない人がいるのを

気持ちがないからだと決めつけないで欲しい

 

病人は臭う

歯磨きもシャンプーもお風呂も着替えもしなければ

異臭が発生し、世話人の労力は大変だって知って欲しい

 

日に三度の食事、病人食はカロリーもバランスも大事だから

材料費は安くなく、調理が難しい

食べる時にむせて襟元を汚すこともある

 

病人を家で看るのは、家族が少なくなった現代は難しい

だから施設に入れたと言って、周りのモンは怒るな

 

嫁を労働者だと思ってるんじゃない

娘がちょっかいだしてくるのも嫁には負担なんだよ

 

まぁ、兄貴の嫁を悪く言うS子の話を聞いて

私も兄貴の嫁が嫌いになったけどね

 

 

さて

子供がいたら家は安泰かどうか

 

いずれ遺産は気にくわない嫁にわたる

それは苦々しい

 

でも大好きな孫のためになるなら

それはそれで良い

 

孫にもいずれ相棒ができて・・・

 

あなたの遺産は枝分かれのように分配されて・・

 

結局、誰もあなたにありがとうなんて言わない

 

 

 

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人それぞれの終末、父への詫び状

定年退職した私は

時間に余裕ができた

仕事へのストレスもなくなり

気持ちも穏やかだ

 

寒い冬が終わり、村人が外で作業する6月

老婆は花を植え、爺さんは畑でエンドウや南瓜を植えだす

生き物が陽を浴び、成長する季節だ

 

夕方になると私は庭の草むしりを始める

雑草は強い

毎日、除去しても2~3日後には倍返しで生えてくる

 

草むしりに悪戦苦闘し、疲れると縁側で休憩して

目の前の庭とその後方の海を眺める

 

情緒的気分に浸る

 

庭は父ちゃんが家族の反対を押し切って

海沿いに造ったものだ

 

山茶花、もみじ、つつじ、金木犀・・・

今は潰してしまい無いが当初は鯉が泳ぐ池があった

 

20数年前、同じ6月同じ時間帯

亡父はこの縁側で倒れた

65歳、脳出血だった

 

命に別条はなかったが重い後遺症で

寝返りさえできない身体になり施設入所

 

嚥下障害で肺炎の繰り返し

口から食事を食べれなくなると、胃瘻を作り

胃瘻を抜去しないよう両手を抑制されて

 

認知症が進行しほとんど喋らなかったが

痰を吸引される時はうめき声をだした

 

10年間ベッドの上で生き、死んだ

 

 

 

父への詫び状

①ごめん、長い間、地獄だったね

 

②胃瘻造成はしない方が良かったのかな?

父ちゃんが死んで10年経っても迷っている

 

栄養を取るには胃瘻しか方法がなかったけど

あの選択は正解だったのだろうか

 

胃瘻から必要カロリーを注入できたから

細胞は枯渇せず、心臓も動いてくれた 

それで生ききったけど

 

自力では身体を動かせず

エアーマットを使っていてもできる床ずれ

圧迫による血流障害によって組織が腐る

痛かったね

 

時間が過ぎるのを待つだけ

 

 

③ ごめん、外泊したかったね、もっと

 

麻痺と認知症の悪化で喋らなくなった父ちゃん

話しかける私をじっと見つめていた

 

「家に帰る?」聞くと

その時だけは「オー」と返答する

 

父ちゃんの外泊は大変だった

硬く曲がった四肢と体幹のすきまから行うオムツ交換

上手く出来なくてシーツに排泄物がつく

 

寝る前に最後の体位変換、朝一番にも体位変換

寝たきりでも父ちゃんの身体は重かった

 

痰がからむたびに行った痰の吸引

やらなければ窒息する

 

わずかに動く首と手をおさえつけてやった

歪んだ父ちゃんの顔ははっきりと覚えている

 

痰を吸引されている間は息ができないから

ごめん、苦しかったね

 

父ちゃんが外泊すると

親戚や友達が寄ってくれた

 

人形のように動かない父ちゃん

影武者のように母ちゃんが代弁をする

 

変わり果てた父ちゃんから離れていく親戚

でも友達はけっこう最後まで遊びに来てくれた

 

 

 

古いアルバム

そこに白黒の色あせた一枚の写真が入っていた

遊ぶ小さい私たちを縁側で腰かけて見ている父ちゃん

その目がとても優しい

 

 

時間は止まってくれない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴミ男

夕方、いつものように愛犬の散歩に出かけた

途中、村のゴミ置き場があり

それは県道近くに設置されている

 

一台の黒い大きな車がゴミ置き場に停まる

 

私は車好きなのでどこの会社のなんていう車なんだろうと

遠くから見ていた

 

背の高い若い男性が降りて来た

村では見かけない人だ

 

男性は黄色いビニール袋をゴミ箱に入れた

堂々とした動作で

堂々と車に戻り

ブワ~ン!と発進し県道に戻り、村と逆方向に走っていった

 

よそ者がゴミを捨てて行った

それも村指定の黄色いゴミ袋を用意していて・・

用意周到・・

 

小さな怒りが湧いた

村人さえゴミの日をちゃんと守り、朝に出すのに

どこのどいつだ!

 

ゴミ袋には個人情報が詰まっている

カップ麺が多ければ食い盛りの男子学生、コンビニ弁当が多ければ

アパート暮らしの会社員、包装紙があれば買い物の行動範囲が予想され

お便りでも混ざっていたら住所、氏名が特定される

 

ゴミ男が置いて行ったゴミ袋、中を覗いてやろうか

いやいや、手首でも出てきたらヤバイし

面倒はごめんだ

 

さて

ゴミ男は我が家にもいる

あいつだ

 

あいつは仕事が終わると毎日帰って来る

どっかで泊まってくれてもいいんだけど

 

あいつは風呂、夕飯前にルーティンのようにゴミ整理をする

 

台所、茶の間、風呂場、ポイントを回る

ゴミ袋は大、中、小サイズがあり

あいつは中サイズに収める事を狙っている

ケチだから

 

一方、ゴミ量が少ないとつまらないのか

座敷や仏間にも遠出する場合もある

 

ガサゴソとビニール袋を触る音に私はいらつく

女々しく感じるのだ

 

土曜、日曜、祭日、ゴミ男は大張り切り

起床時、昼飯後、夕飯後、眠前と

日に4回もゴミ集めに奮闘している

 

茶の間で寝っ転がっている私の側に落ちている菓子袋の殻も

ひらいに来る

 

なら家の周りの雑草でも抜いてくれれば

私は楽なんだけど

そういうのは嫌いらしい

 

ゴミ男はゴミ収集、分別が趣味なんだ

ゴミの日の前夜は、車を外に停めている

翌朝のゴミ出しにかける気迫がうかがえる

 

ゴミ男の好きなものがもう一つある

それは店で貰う粗品

 

粗品が欲しいためにわざわざ店に出向いて、あるいは

商品を買って粗品をゲットしている

 

粗品はその名の通り、安物で利便性が低い

ダサいデザインが多く私は粗品が嫌い

 

粗品を隠しているとゴミ男に聞かれる

ゴミ男「あれどうした?」

きれる頭じゃないくせに粗品の事は良く覚えている

 

以上

 

 

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ゴミ男

夕方、いつものように愛犬の散歩に出かけた

途中、村のゴミ置き場があり

それは県道近くに設置されている

 

一台の黒い大きな車がゴミ置き場に停まる

 

私は車好きなのでどこの会社のなんていう車なんだろうと

遠くから見ていた

 

背の高い若い男性が降りて来た

村では見かけない人だ

 

男性は黄色いビニール袋をゴミ箱に入れた

堂々とした動作で

堂々と車に戻り

ブワ~ン!と発進し県道に戻り、村と逆方向に走っていった

 

よそ者がゴミを捨てて行った

それも村指定の黄色いゴミ袋を用意していて・・

用意周到・・

 

小さな怒りが湧いた

村人さえゴミの日をちゃんと守り、朝に出すのに

どこのどいつだ!

 

ゴミ袋には個人情報が詰まっている

カップ麺が多ければ食い盛りの男子学生、コンビニ弁当が多ければ

アパート暮らしの会社員、包装紙があれば買い物の行動範囲が予想され

お便りでも混ざっていたら住所、氏名が特定される

 

ゴミ男が置いて行ったゴミ袋、中を覗いてやろうか

いやいや、手首でも出てきたらヤバイし

面倒はごめんだ

 

さて

ゴミ男は我が家にもいる

あいつだ

 

あいつは仕事が終わると毎日帰って来る

どっかで泊まってくれてもいいんだけど

 

あいつは風呂、夕飯前にルーティンのようにゴミ整理をする

 

台所、茶の間、風呂場、ポイントを回る

ゴミ袋は大、中、小サイズがあり

あいつは中サイズに収める事を狙っている

ケチだから

 

一方、ゴミ量が少ないとつまらないのか

座敷や仏間にも遠出する場合もある

 

ガサゴソとビニール袋を触る音に私はいらつく

女々しく感じるのだ

 

土曜、日曜、祭日、ゴミ男は大張り切り

起床時、昼飯後、夕飯後、眠前と

日に4回もゴミ集めに奮闘している

 

茶の間で寝っ転がっている私の側に落ちている菓子袋の殻も

ひらいに来る

 

なら家の周りの雑草でも抜いてくれれば

私は楽なんだけど

そういうのは嫌いらしい

 

ゴミ男はゴミ収集、分別が趣味なんだ

ゴミの日の前夜は、車を外に停めている

翌朝のゴミ出しにかける気迫がうかがえる

 

ゴミ男の好きなものがもう一つある

それは店で貰う粗品

 

粗品が欲しいためにわざわざ店に出向いて、あるいは

商品を買って粗品をゲットしている

 

粗品はその名の通り、安物で利便性が低い

ダサいデザインが多く私は粗品が嫌い

 

粗品を隠しているとゴミ男に聞かれる

ゴミ男「あれどうした?」

きれる頭じゃないくせに粗品の事は良く覚えている

 

以上

 

 

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事故に遭い、おしっこがでなくなったコハルちゃんのその後

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愛犬にかかる年間費用は11万

うち半分はお店でやってもらうシャンプー代だ

 

節約のため先日は自宅でシャンプーしたけど

この子、じっとしていない

 

乾かすため、タオルで拭かれているうちはいいが

ドライヤーになると身体をひねり、逃げ出し

カーペットやソファ、座布団などに身体をこすりつけだす

汚れるけど捕まえられないのであきらめた

 

毛がボッサボッサの愛犬を連れて

いつもの獣医さんに出かけた

愛犬の爪切りのためだ

 

シャンプーはかろうじて家でできたが

爪は老眼なんで見えず、専門家に依頼するしかない

 

待合室には

お散歩中、交通事故に遭い、尻尾切断手術を受けたが

後遺症でおしっこがでなくなり

毎日一回、獣医さんでおしっこをだす処置を受けているネコ

コハルちゃんが飼い主のご老女と来ている

 

ピンクのキャリーバックからコハルちゃんの可愛い

声が聞こえる

人間の赤ちゃんが喋っているようだ

 

私「これはご機嫌が良い時の声ですか?」

コハルちゃんに会うのはもう三回目なので

飼い主のご老女とはコンチワと言い合う仲になっている

 

ご老女「機嫌が悪いと唸るから、良いんでしょうね」

コハルちゃんは白い美ネコでふっくらしている

大きい目であたりを伺っている

 

私「おしっこがたまるとお腹ふくれますか?」

ご老女「そうですね、触ると張ってます

元気がなくなりますね」

 

私「散歩はもうしてないんですか?」

ご老女「いえいえ、相変わらず勝手に外に出て行きます」

ご老女が苦笑いする

 

紺のTシャツにグレーのズボン、青いスニーカー

ご老女は今日も爽やかでお洒落だ

お話上手だから案外カフェ的なお仕事でも

されている方かしら?

 

他の客1「あの~ここがお休みの時はどうするんですか?」

おしっこがでないコハルちゃんは話題らしく

他の客もコハルちゃんを知っているらしい

 

ここの獣医さんは、市内にも開業しており

休みの前日になるとコハルちゃんを獣医さんが預かっていって

市内の医院の方で診ているとのこと

 

頭が良いから医者にでもなろか

食いっぱぐれないから看護師にでもなろか

そんな人種がまぎれている人間の病院と違い

獣医さんでは基本、動物好きしか集まらないから

獣医さんの待合室はほんわかしている

 

他の客2「コハルちゃん、保険入っているんですか?」

いつの間にか待合室の全員が輪になっている

ご老女「いーえ、入っていません」

 

いったいいくらお金かかっているのかしら?

この先もいくらお金かかるのかしら?

 

他の客2「マッサージとかダメですか?」

ご老女「看護師さんに教えてもらうけど私できなくて」

・・・・

・・・

私「コハルちゃんは小さい春ですか?」

ご老女「ええ、4月に拾ったんです

三年前ですかね」

 

そうか、診察券では「〇〇小春」か

うちは大きいと言う漢字で呼び名は「ダイ」だ

一人っ子だから時々、暇そうにしている

 

ご老女「うちにはもう一匹、ネコがいるんです」

私「へー」

ご老女「その子も捨て猫で、片目しかないんです」

えー!

 

ご老女、どんだけ太っ腹なんだ

 

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ルーツ

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愛犬との散歩コースに一軒の空き家がある

 

私のお婆ちゃんの妹さん(大叔母?)が嫁いだ家で

旦那と子供3人で暮らしていたらしい

一家は後に埼玉県に移り、そこで小さな商店を営んでいたらしい

 

私が生まれる前の話だ

 

我が家に冠婚葬祭があると

私の知らない親戚が埼玉からやって来る

それが亡き大叔母の長男、次男だと認識したのは私が大人になってからだ

 

長男さんは明るく気さくな人柄で

聞けば高校生の頃までこの村で暮らしていたとか

 

だから長男さんはこの村に幼馴染もおり

定年退職後はたびたび村に遊びにやって来た

仲良しの弟さんといつも一緒だった

 

二人にとってこの村は故郷になるわけだ

 

さて

二人には今回の話の主人公になるリコさんという妹がいる

 

リコさんはT大学卒業後、イギリス人と結婚し

カナダに移住、ビジネスを起業し大成功したらしい

カナダにいくつも家があり、飛行機で

飛び回っているとか・・・

 

 写真でしかお目にかかったことはないが

顔立ちは彫りが深く目がパッチリしていて

外人のようにも見える

 

このリコさん、お年は72歳

長男さんの死後、入れ替わるように

ひょっこり我が家に顔をだすようになった

 

イギリス人のだんなグレイも一緒だ

 

背が高いイケメンなので

自転車に乗っていたりすると雑誌モデルのように見える

さすが外人、かっこいいワなんて思う

 

やり手で、マイペース、ストレートなリコさんとは

正反対の性格でグレイは穏やかだ

 

リコさんの話によると

両親が商売していたので商いのコツを知っていた

売れるものが勘で解るのでカナダで成功した

カナダに渡ったのは、国土が広くて空気が綺麗だから

埼玉も東京も人混みが苦手だったとか

子供達は会社を継いでくれないので

今後は会社を閉めるつもり

グレイはのんびり屋

貧乏な家だったので大学はリコさんの稼ぎでだしてやった

 

「プアファミリー!」リコさんがグレイをからかう

グレイが笑顔でうなづいている

 

リコさんは

村から15分離れた町のやまてに家を買った

インターネットで物件を探したそうだ

4月に帰国し

6月までの過ごしやすい時期だけ町で過ごす

 

老夫妻はアクティブに出歩く

近くの100均だったり、観光だったり

そのために車を買う

 

金持ちはケチだと良く聞くが

リコさんを見てるとそう思う

 

有効性がある事がらには大金を使うが

無駄金はださない

 

日本の自宅にある家具は全て骨董品で

リコさんの普段着は安物だ

庭の畑に生えている野菜でぬか漬けを作る

 

夫妻がカナダに帰っている間、家の管理は

町の電気屋の爺さんに依頼する

電気屋の爺さんは親戚でも専門業者でもない

家の電気修理に来ただけの爺さんで

その爺さんをリコさんは便利屋さんのように

使っている

 

夏は雑草刈、冬は雪すかし

家には防犯カメラが設置されており

カナダの自宅で見る事ができるようになっている

異変があると、電気屋の爺さんのパソコンに

リコさんから出動命令がくるわけだ

 

たいした謝礼は払っていないと思う

雑用処理に要した実費分だけだろう

電気屋の爺さんは外国航路の船員さんだったから

暮らしに困っている人でもない

 

カナダに住むリコさん

どうして日本の片田舎に家を買ったのかわからない

そして

両親が残して逝った空き家の修理を始めている

庭石が盗られないようロープを張っている

 

リコ「オラ、父ちゃんと母ちゃんの法事を

したいのよ」

リコさんは生家の思い出話に熱中すると

自分のことをオラと言う

 

両親の法事とは30回忌?50回忌?

 

リコ「父ちゃんと母ちゃんが建てた家だからね

残して置きたいのよ」

 

では、リコさんが空き家に住むのかというと

そこまでは直す気はないらしい

リコさんが生きている間は空き家を保存したいらしい

 

空き家にはアルバム、手紙、家具、茶碗など

多数の物品があるらしい

リコさんはそれらを少しづつ持ち出して

町にある自宅に運んでいるらしい

 

私も定年退職後、蔵にあった古いアルバムを

持ち出して来て眺めている

 

自分のでどころを確認してこれからの生きる道を考えている

 

お婆ちゃんの写真があり、私に似ているとも思うし

亡父にも似ている

血は受け継がれるようだ

 

ご先祖の大工道具が見つかり、捨てても良いし

あっても構わないし

 

自分自身を見直すために遺品、遺物が必要かなとも思う

 

リコ「ルーツが知りたいの」

町の役場では直近の戸籍しかないようで

我が家にあった昔の戸籍謄本をコピーして

リコさんに渡した

 

リコさんの想いは一部私にも理解できるから

想いを尊重したい気がする

 

だけどやっぱりついていけない

リコ「山の中にあるお墓ね、オラ死んだら

そこに入るつもりよ」

 

私「え?!、カナダにお墓ないんですか?」

リコ「移民だからお墓はまだないの

でも死んだら両親の所に入りたいの」

 

えーーー!・・・・

両親の墓って、暮らしていた埼玉じゃないんですか?

この村のお墓に骨を入れたんですね

 

そこにカナダからリコさんの遺骨がこの村に運ばれてくるんですか?

いったい誰が墓参りに来るんですか?

グレイも子供さん達も来ないよ

日本に、こんな田舎に・・

 

 

リコさんって我儘

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

コハルちゃんはおしっこがでない

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犬の死亡原因の一つに

フィラリア症がある

 

フィラリアという寄生虫が犬の体内で寄生し

やがて心臓に機能障害を起こす怖い病気だ

ファイラリアの幼虫をもった蚊に犬が刺されることで

発症する

 

フィラリア予防薬は蚊がいる5月から12月まで

服用させなければならない

愛犬の場合は草むらを散歩するのでノミダニ予防も兼ねて

ネクスガード」というのを飲ませている

 

月に一度、一粒だけ飲ませれば良いのだけど

簡単に飲んでくれない

 

手に乗せているだけでは愛犬は見向きもしない

たとえ口に入れたとしてもペッと吐き出す

ドッグフードに混ぜても、薬だけ器用に

吐き出す

 

一粒2300円もする

失敗は許されない、チャンスは一回きりだ

 

愛犬はチーズが大好きだから

チーズに混ぜて口に入れるが

これまた薬だけ器用に吐き出す

 

それで薬を小さく割って、チーズにくるんで

ゴックンするのを息を止めて凝視する

 

毎年飲ませるのに苦戦している

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いつもの町の獣医さんにフィラリア予防薬をもらいに行く

 

商店街もさびれ、若いモンがいない

滅びゆく田舎なのに

獣医さんがいるというのがちょっと不思議だ

 

戸を開けると

待合室に飼い主が数人腰かけている

それぞれがペットを抱えていたり

足元にキャリーバックを置いていたり

 

イラついている人はいない

 

穏やかな様子で診察の順番を待っている

 

見知らぬ人たちだけど

動物好きだというだけで親近感がわく

幼稚園でのママ友みたいみたいな感覚

 

どう育てているのか知りたい

隣に座っているご老女に話しかける

 

私「今日はどうしたんですか?」

ご老女「ネコが 交通事故に遭いまして」

私「えっ!それは大変ですね」

 

ご老女「うちの子が悪いんです、勝手に外を散歩する子でして           道に飛び出したんですね、きっと」

私「怪我したんですか?」

ご老女「はい、尻尾を切る手術をしました」

 

ネコは小さな隙間さえあればそこから

出入りし、気ままに外を出歩く

 

田舎の家は縁側、窓、裏戸、どこからしら開いていて

また玄関に鍵をかけない風習がある

 

ご老女の愛猫は事故後、自力で自宅に戻って来たという

ネコを跳ねた車の運転手さんが後で詫びに来たけど

うちの子もいけないんですとご老女は運転手さんを

帰したという

 

私「痛いですよね、それで歩けるんですか?」

ご老女「はい、元気です

でもおしっこが出ないんです」

 

尻尾を切ったとはどんな怪我だったのだろう

おしっこがでないとはなにが原因なんだろう

心因性、あるいは尿管損傷でもあるのだろうか

 

愛猫はおしっこを出すため毎日一回通院しているとのこと

ご老女「私の通院とこの子の通院と大変忙しいです」

 

動物はしゃべることができない

飼い主が、見て、触って、気づいてあげなければならない

 

ご老女は肝っ玉が据わっているのか

愛猫に起きた不幸をさらりとした口調で話す

 

診察室の中からご老女を呼ぶ声がする

愛猫の処置が終わったようだ

 

ご老女がピンク色のキャリーバックをぶらさげて

出て来た

 

キャリーバックからミャーンと可愛い鳴き声が聞こえる

「おかあちゃん、怖かったよ」って甘えているようだ

ご老女「コハル、帰ろうね」

 

受付の事務員が一万二千円ですと話しているのが

聞こえる

 

高い、毎日、こんだけ払ってますの?

家計にひびくよ!

 

ご老女はさらりと支払うと私に一礼して

待合室から出て行く

普通車に乗り込むご老女の青いスニーカーがお洒落だ

 

金持ちだね、きっと

 

 

 

一か月後、再び町の獣医さんに行った

今度は狂犬病の予防注射のためだった

 

あのご老女がピンクのキャリーバックを床に置いて

椅子に腰かけている

 

私「コハルちゃん、おしっこでましたか?」

ご老女「出ませんね、ウンコも出ないんです」

私「浣腸とかするんですか?」

ご老女「いえ、私が指を入れて出しています」

私「大変ですね、ご飯は食べてますか?」

ご老女「おかげさまでそれはちゃんと食べてくれます」

 

愛猫の介護はいまだに続いている

幸いにご老女は自然体の様子で

それが私の救いになった

 

コハルちゃん、もっと腕の良い獣医さんに

診てもらったらどうですかね

 

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