メタボンの行きあたりばったり

昨年定年退職しましたメタボンです。毒を吐きます。

母ちゃんが死にました、戦いの幕開けです。ーー葬儀ーー

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12月9日 10時から葬儀予定です。

 

      見積り書をもらっていないことで、セレモニー会館の社長

      ばばぁを絞めるために、私と義理兄(兄貴と呼ぶ)は8時に

      ばばぁが出勤してきて、事務室にはいったところを

      二人で入っていきました。

 

      兄貴は一見、優男ですが、危ない相手との仕事をした

      経験をもっています。

      また、値切るというのが大好きな兄貴です。

 

      「こらっ、明細書ださんかい!」

      ばばぁは兄貴の剣幕におされ、ロッカーの上にあった

      明細書の一部を取りました。

 

      「〇〇出て行け」兄貴が私に退室するよう言いまいした。

 

      ここは、兄貴にまかせ、私達は葬儀会場の遺族席に着席しました。

 

      うちの田舎では、母親の実家から僧侶を一人呼ぶと言う

      習慣があります。

      村の住職と住職の嫁(この方もお経を唱えることができる)

      そして、呼ばれた僧侶の3人でのお経が始まりました。

 

      3人のハーモニーがとても綺麗でした。

      着ている衣装がカラフルで、見ごたえありました。

 

      スマホで写真撮ったら、不謹慎と姉に叱られました。

      おかまいなしに参列者も撮りました。

 

      通夜の時程、参列者がこないだろうと、あらかじめ

      椅子の数を減らしてあります。

      空席の多い会場は寂しいものです。

 

      祭壇や生花、菓子、果物、名前はすでに昨日撮ってあります。

      これは、後日「俺の名前がない」とか言われないための証拠です。

      母ちゃんの兄弟で、遠方のため来れなかった方に送る写真でも

      あります。

 

      老人会の弔辞が始まります。

      母ちゃんの人柄、亡くなって悲しい事を読みあげていました。

 

      次はひ孫からおばあちゃんへと題した、お別れの言葉が始まります。

      11歳のともちゃん、14歳のはるちゃん、

      (上手く読めるかな?)

 

      二人が祭壇前でモジモジしています。

      不思議にこの時、近くの工事現場の影響で、マイクが使えなく

      なったのです。

      でも二人は大きな声で「そっちの世界はどうですか?

      あと79年待ってて下さい。お婆ちゃんのところに行きます」

 

      場内は爆笑です。

 

      葬儀が終わりに近づいて来ました。

      司会者の誘導で、母ちゃんの顔に、花を近しい人が入れていきます。

 

      誰の仕業かわかりませんが、眉や口紅を書き足してあり

      魔女のようなお顔になっています。

 

      天寿をまっとうした感があり、誰も泣きません。

      言いたいことをいって、畑もして、生ききったからね。

 

      ともちゃん、はるちゃんも平気で冷たくなった遺体に

      触ります、怖がらないのです。

      先ほどのお手紙を、母ちゃんの胸にのせてました。

 

      斉二場に行く人は、そのまま中陰(精進落とし?)の席に

      ついていただくため、あらかじめ当事者に家族が声かけして

      あります。(声かけって難しく、帰ってしまう人もいた)

 

      火葬場までの霊柩車の運転は、なんと、司会者。

      この方は、納棺師でもあり、司会者でもあり、今は運転手。

 

      (あのばばぁ、あこぎな奴だ。どんだけ働かせるんだ!)

 

      運転手からいろいろ聞く。

      「首からぶらさげていた袋に入れた紙なんですか?」

      「硬貨のかわり、貴金属があると火力が微妙に違うからね」

      「いろんな所に行っているんですか?」

      「そうね、富山とか、北陸三県かな」

      「ドライアイス必要ですか?」

       「今は冷暖房管理できているけど、蠅がたかることあるからね」

 

       斉二場につくと、家以外に3家いた。

 

       焼き上がりまで、控え室で軽食をとる。

       おにぎりとオードブル30人前だ。

 

       ビールを飲みたい者はビール。(ノンアルコールもある)

       飲み物類は、今朝、葬儀委員長から「買えなくて、そっちで

       準備してくれ」と指示があり、急遽、親戚のスーパーに

       配達してもらったもの。飲み食いした後の始末は各家で

       しなければいけない。いつの間にか、ビニール袋が用意

       されている。女性群が片付け始める。

 

       この間、村の住職は他家の49日法要に行っていた。

 

       火葬が済んだら、担当者が迎えに行く事になっていた。

       住職稼ぐ稼ぐ。

 

       兄貴の姿が見えない。

       (まだばばぁをとっちめているのかな?)

 

       母ちゃんはステンレス製の平たい上に置かれていた。

       骨太だったが、腕も脚も粉々になっていた。

       (焼きすぎでは?)

 

       骨箱にみんなでひとかけら、ひとかけらづつ入れていく。

 

       感心したのは、骨箱を白い布でくるむのだが

       斉二場の方、すごく丁寧に包んでいた。

       (布がほころんで、落ちたら大変だからかな?)

 

       バスに乗り込み、お経をあげるためセレモニー会館に戻る。

       なんと、運転は社長のお孫さんだ。

       セレモニー会館は、他に娘と孫娘が手伝っているという家族

       経営だ。

       ちなみに社長の息子はタクシー会社社長。

       (これ、全部あの納棺師、司会兼運転手から聞きだした)

 

       社長ばばぁはどんぶり勘定で、商談ルールを知らない老人。

       これは治らないだろう。挨拶もろくにできない。

       だけど、お孫さんにはビジネス学んで欲しい

 

       セレモニー会館に着く。

       住職が席について、お経を始める。

       どこか疲れている様子。体が横に倒れかかっている。

 

       「みなさん、お食事用意してあります。こちらにどうぞ」

 

       席順は住職、近所の親戚、母ちゃん方親族、末席に私たち。

       御前はやめた。用がある人は包んで持ち帰りできるよう

       パックにした。

 

       西という名の仕出し屋さんだ。

 

       お通夜の時も、斉二場で食べた時も、中陰のこれも美味しい。

       おっとっと、食べている場合じゃない。遺族として本日集まって

       頂いた方がたに順番に挨拶まわりだ。(ビールを持って)

 

       特に母ちゃんの弟さんは、はるばる埼玉から来てくれた。

       この方はオーダーメイドの仕立て屋さん。

       バッキンガム宮殿にはいり、アン王女の服を作ったらしい。

       「長生きしてね」とお願した。

 

       兄貴がきた。

       「150のとこ、138にまけさせた」

       (兄貴ありがとう)

       「この明細書150のままやけど、あとで書き直して持って来るはず」

 

       葬儀委員長が「住職帰るみたい、写真撮りたいって」

       「みなさーン、宴たけなわですが、全員の写真を撮りたいのです」

       住職を中心に全員がかたまる。

 

       「これ、最後の写真、遺影になるかもしれないので

        最高の笑顔お願しまーす」

       全員が笑顔になる。良い人達だな。

 

        住職が帰ると、他の客も帰り出す。

       「ありがとうございました。」「ありがとうございました。」

 

 

        ばばぁに明細書下さいと言うと「さっきあげたよ」

       「150のではなく、138のやつ下さい」

       「まけたのに、どうなってもしらんよ?」

       「価格提示しないそっちが悪いよね、きちんとした明細出して下さい。

        ビジネスでしょ」

        姉が止めに入る。「終わったからもう良いよ」

 

        きちんと仕事のルールを教えないと

        「支払いの時、お孫さん連れてきてください

        「孫おらん、出張や」

        「じゃ、お孫さんがいる日に支払いに来ます、いついますか?」

        「火曜日かね」

 

        自宅に戻り、姉達はそれぞれ帰って行った。

        納棺師及び司会者兼運転手さんが、ひな壇のような

        物を運んできた。

        骨壺、遺影、飾り花を壇にセットして行った。

        

        私が住む町のセレモニー会館は広い。使用料は高い。

 

        隣町のセレモニー会館は小さめで、弔問客の少ない

        母ちゃんの通夜、葬儀にちょうど適した広さだった。

 

        兄貴のおかげで安くあがった。

 

        これからもあのばばぁとの戦いが続く。