メタボンの行きあたりばったり

昨年定年退職しましたメタボンです。毒を吐きます。

ツキメイニチ物語

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月命日

故人が亡くなった日に

僧侶がやって来てお経をあげる日

毎月行われる

 

いいよね、僧侶はカバンひとつぶら下げて

来るだけだから。

お迎えするこっちは大変だ。

 

前日

8時起床。

私はコーヒー中毒、コーヒーがないと

一日が始まらない。

 

コーヒーを飲みながら、今日の段取りを思案する。

月命日、花と饅頭買ってこなければ

 

あと、掃除だ。苦手な掃除。

僧侶が歩くルートは、綺麗にしとかねば

 

昼からやろう、

二度寝に突入。

 

無職の何が良いかって、この二度寝

不謹慎かもしれないが究極の楽園だ。

 

11時頃、愛犬が吠えだす。

こいつは誰かが来たのを敏感に察知する。

 

同時に携帯が鳴る。

「私、玄関にいるんだけど」

姉です。

抜き打ち監査です。

 

慌ててパジャマを脱いで服に着替える。

寝る時はパジャマ、パジャマが大好き。

 

玄関を開けると、姉「寝てたやろ

大当たり、鋭い監査管。

 

姉「畑に行ってニンニク植えてきた」

姉は嫁ぎ先から40分かけて我が家にやって来る。

 

我が家の畑で、姉は野菜を作っている。

姉はニンニクが好物なので、いつも元気。

 

私「へぇ、できたら頂戴」

妹の私は、野菜作りに全く関心がない。

 

観葉植物は好きだけど。

観葉植物なら育ててみたい

 

姉「この前、叔母ちゃんの旦那に挨拶に行って来た」

叔母ちゃんは母ちゃんの妹で、隣町でスーパーを経営。

金持だ。

 

姉「母ちゃんが、もし自分が死んだら

(叔母ちゃんの)旦那に世話になったとお礼してくれって

言ってたの思い出してね」

 

我が家は昔、小さな織物工場を家業にしていたが

経営不振で、600万円の借金ができ

父親が寝込んでしまった。

 

その窮地を救ってくれたのが、叔母ちゃんの旦那。

いくら必要や?

我が家の山を、高額な値段で買ってくれた。

 

その恩を生前の母ちゃんは、照れくさくて言えず

姉に頼んで逝ったらしい。

 

我が家の事なのに、姉にオンブニダッコ。

近況報告など行い監査は終了。

 

午後からエンジン始動。

町の老舗和菓子店に出かける。

 

私は、町の商売人の愛想がないのに

毎回、驚く。今さらながらにね。

 

不景気なのに、買う気のある客が入店しても

笑顔がない。それが不思議

 

なんの用って顔する。

すすんで商品説明して欲しいワ。

接遇、接客の講習うけてこいや!

 

ショウケースの中は、変わりばえしない

和菓子が並んでいる。

 

何にお使いますの?とか聞いてこいや!

投書箱どこにある!

 

適当に9個買う。

包んでいる間に、店内を見渡すと

有名な陶芸家の壺発見。

 

ちょっと焼き物に詳しい趣味が私ありまして。

私「これ、徳田八十吉ですね、凄い」

女「主人の趣味なので私は分からないんですけど」

 

さらに抹茶茶碗が座布団の上に鎮座している。

私「あれ?、これは何焼ですか、綺麗ですね」

女「さぁ・・・、お好きなんですか、そういうの」

 

会話成立。

そうか、商売人の趣向を褒めてやればいいんだね。

 

次、花屋。

女「はーい」奥から出てきた。

たぶん喫煙者、だみ声だ。

 

仏壇用とあらかじめセットになっている

花を買う。

 

褒める物が見当たらない。

 

菜の花が入ったバケツが目に入る。

緑緑していて癒される。

 

一本90円も良いね。茶の間用にしよう。

私「これ、どのくらいもちますか?」

すぐ枯れるの困るから。

 

女「どれくらいって・・はっきりわからないね」

寒い風吹いて来る。

 

帰宅してから玄関、茶の間、仏間掃除する。

襖のさんにもけっこう埃がつもっている。

 

月命日って、月に一度は掃除しろって意図も

含んでいるね、きっと。

 

明日、慌てないように仏壇に花と菓子そえて

僧侶のお布施代2000円封筒に入れて

 

台所に行き、テーブルに僧侶にお出しする

菓子、茶器などセッティングする。

 

寝る前に、ソファについている抜け毛を

入念に取り去る。

もちろん、愛犬は午後からは部屋に監禁。

 

月命日当日

7時起床、表の掃除をする。

 

玄関に戻ると、獣臭がする。

ペットが嫌いな人なら気づく臭い。

 

慌てて、玄関横の洗濯機に

シャツなど投入、ハミングたっぷり入れる。

洗濯後、ドアは開けておく。

 

そうすると玄関にハミングの良い香りがする。

最終、リセッシュを玄関、茶の間に吹き付け。

 

茶の間はエアコン暖房、仏間はファンヒーター

快適な暖かさか往復して確認。

 

おもてなしは大変な作業だ。

9時に僧侶到着。

 

白いシャツにグレーのセーター、茶色のズボン。

手にぶら下げているカバンには着物が入っている。

 

玄関に立っているだけでも分かる、今日も

腰痛いんですね。体ななめになっている。

 

仏間に案内。

着物に着替えるはずだから一人にしてあげなければ

ならない。

私「お茶入れてきます」

 

台所でお茶の準備、あれ?お茶菓子がない!

昨日、置いたのに。探すが見当たらない。

 

家人が食べて仕事に行ったんです、たぶん。

おやつに食べているパイをお盆に乗せる。

どうせ、お持ち帰りだから、良いか。

 

読経が始める。

相変わらず、途中でつまったりしている。

 

修行足りないな。

しかも、セーターの上から着物着ている。

 

横着者。

袖からシャツはみでているし。

 

東京で教職についていたけど、父である前住職の跡継ぎ

として故郷に戻って、まだ10年弱の方だ。

育ててやらなくてはならない。

 

5分くらいで終わった。

 

短くねぇ?

お布施2000円、高くねぇ?

 

僧侶「百箇日どうしますか?」

 

故人を亡き偲ぶから、立ち直るのが死後百日

仏教の世界では、法要をするらしい。

その時は親類も集めなくてはいけないらしい。

 

村の区長に聞いたところ「俺んとこしなかった」

 

私「パスします」

僧侶苦笑い。

 

村の噂によると、各家のご先祖さまの命日をパソコン

管理しており、抜け目なく法要を催促してくるそうで。

 

僧侶という名のビジネスマン。

 

瀬戸内寂聴なら崇拝する。

彼女は達観しているし、話が痛快だ。

お金積んで、法話を聞きたい!。

 

僧侶「祠堂なんですけど、永代供養・・」

またお金の話。ビジネスマン。

 

祠堂料(末永く供養する)

村の相場は、20万~30万円台。

請求金額は僧侶が家を見て、決めるとか。

 

金額と名前を書いた紙を御堂に張り付ける

らしい。

 

私はお寺に行った事がないので知らないけど。

値踏みと見栄との融合。

 

町では、お金を沢山お支払いした方は

金額と名前が、紙に太く大きく書かれて

張り出されると聞いた。

 

これはいかがなものか?

 

門徒のお金で寺は維持されているが

門徒を無能扱いしている行為だと思う。

 

あなたの読経に、まだ、価値はない。

私「5月くらいにお返事します」

 

この1年で村の高齢者が5人亡くなった。

あなたの懐うるおってますね。

 

以後も亡くなる人が続く過疎の村。

今は悟りがたいあなたですけれど、健闘を

お祈りします

 

僧侶は、茶の間で世間話をして帰って行った。

 

家業を継ぐって覚悟がいるね。

好き家業だと報われるけど。

 

また、一か月後に月命日が来る。

 

こんなやりとりを重ねるうちに

私もお寺に足を運ぶ日がやってくると思う。

ご先祖さまを敬うために。

 

この村で生きて行くと決めているから

村のために何かお役にたちたい。

 

 

 

 

 

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