ズンに似ている電気屋の店員
我が家の炊飯器は古く、数か月前から部品が壊れている
内ぶたのフィルターと呼ぶツマミがあまくなり
ご飯の上に落ちるのである
ご飯は美味しく炊けるので支障はない
ツマミが落ちるだけ、ただそれだけ・・
どうせ壊れるなら派手に壊れてくれれば速攻買い変えるのだが
炊飯器の寿命って何年なんだろう
ーーー
町はずれにある大型家電センターに出かける
内ぶたを交換できないかなと・・
無職なので出費は抑えたい
町の大型家電センターには苦々しい感情を抱いている
①店員がいない
②いても忙しそうに走り去っていく
③捕まえても電化製品の説明が不十分
④客に商品を売ってやろうとする意欲がない
⑤誠意がない
⑥レジ付近でたむろっている
⑦田舎モンが、接客研修に行って来いや
⑧社長だせ!御社の経営理念は何だ
どうせ今日もどの店員も相手してくれないんだろう
そう思いながら炊飯器売り場をウロウロする
買い変える場合に備えて売れ筋とか機能とか値段とか
調査しておかねばならない
決められないまま、掃除機コーナーに行きつく
そういえばコードレスが欲しかった
吸引力確認のため片っ端からサンプル商品を取り出すが
どれも充電切れで動きやしない
やっぱ売る気がないな、ここの店員
給料を歩合制にすれば客と真面目に付き合うんじゃないかな
エアコンコーナーにメガネをかけた中年男性店員を見つけた
下を向いてパソコン画面を見ているようだ
「あの~~、炊飯器の事を聞いても良いですか?」
私の声かけに顔を上げた中年店員がお笑い芸人のズンに似ている
髪型も体形も顔立ちもズンだ
ズンは軽妙な受け答えが売りで、でしゃばらない立ち位置が私は好きだ
おれおれと前に出てくる芸人は見苦しい
「炊飯器ですね」ズンは乗りが良い
「内ブタのツマミが故障して、内ぶた交換できますか?」
「出来ますよ、カードでお支払いされているようなら
お電話番号を教えて下さい、データーをお調べいたします」
展開が早い
「9年前の商品になりますね、6年間なら在庫あるんですが
メーカーに問い合わせしてみます」
ズンの迅速丁寧な対応が嬉しい
「あの~~、コードレスの掃除機って良いですかね?」
ここからズンの見事な掃除機商品説明が開始される
まるで家電芸人みたい
あふれる知識が凄い
久しく丁寧な接客をされたことがない私は舞い上がる
「歩合制ですか?」
「いえ決められた給料です」
もし夏のボーナスにズンの売り上げが影響するなら
買っても良いよ、ダイソン
ブラシの赤と青の色使いが気にいらないけど