メタボンの行きあたりばったり

昨年定年退職しましたメタボンです。毒を吐きます。

大野商事経営「成田~カナダ間直行便」試験飛行 第3話

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「うち、英語苦手なんでけど、務まりますやろか?、」豆ふく。

「それは、私も同じです。でも女将さん、ゆうてはったやろ

おおきに、おおきに言うて歩くだけでいいですぅって」豆小町。

 

「なんか聞いてきたらどないしょう」豆ふく。

「そんな時は、笑とればええんとちがう?」豆小町。

 

今晩のお座敷は「一力」

著名人からのご指名です。

 

豆小町の踊りに魅入されます。三味線に感動します。

修練の賜物です。

 

豆小町5歳の時、母親が、花街を出て行ってしまった。

置き去りにされた豆小町は、母の友人であった置屋「紅」の女将

ふくに育てられました。

 

他の子たちより厳しく指導したおかげで、豆小町あっての祇園

花街屈指のお座敷から、ご指名は絶えません。

 

ある日、ふくと豆小町がお客さまのお見送りに、京都駅にいた時

中学生の修学旅行団体にでくわしました。

 

その中にひときわ美しい学生がいました。

色白で目の大きな女学生。

「市松人形みたいですね」

「ひな人形みたいです」

 

二人が置屋に着くと、「こんにちわ」とか細い声がします。

なんと先ほど駅で見かけた女学生が立っています。

 

驚く二人。

「みんなから、はぐれて・・・」大きな目から涙が流れます。

「どこの中学生?、先生の携帯番号知ってはる?」

 

「沖縄から来ました。トイレからでてきたらみんないなくなって」涙。

「携帯は?もってはる?かけてあげるから」

「トイレで流してしまって・・水あふれてきて、掃除してた」涙。

 

「じゃ、旅のしおりとかないの?」

 カバンから資料を探している様子。シーサーのぬいぐるみがでてくる。

 

見つけ出した資料に書いてあった携帯番号にかける。

「あと20分で迎えに来るって、よかったなぁ」豆小町が笑う。

 

少女は怖い思いをしたためか、しゃくりあげが止まらない。

「先生、きはるまで上げって、お菓子でも食べへんか?」

 

おいで、おいですると無言でついて来る。

座敷に案内し座布団をだすと、ちょこりんと座る。

 

先生が迎えに来るとわかって、涙は止まっている。

 

だされた和菓子を眺めている。

「食べて良いよ、なにのまはる?カルピスか?コーラか?

子供用が飲むもんてなんやろ、わからんわ」冷蔵庫で豆小町が言っている。

 

「きれいな饅頭。食べるの勿体ない。持って帰る」

学生は箱に入っていた「木彫りの熊」をとりだし、代わりに和菓子を置いて蓋する。

「こんなセンスもあるで、見てみ。美しいでっしゃろ。」

豆小町は帯の中に入っているセンスを少女に見せる。

 

「いい香りがします。広げていいですか?」

「ええよ」

 

少女はセンスをたたんではひろげ、鼻を近ずけ臭いを嗅ぎ、裏、面模様に

魅入っています。

 

「あんた、ここまでどないして来たん?駅からは遠いで」

「お姉さん達優しそうだったから、タクシーにお姉さんたちをツケテもらいまいした。

すみません。タクシー代払ってください。表に待っていると思います」

 

これが豆ふくとの出会いだった。

 

その後、豆ふくは沖縄に帰ったが、中学校卒業後に再び「紅屋」にやって来た。

舞妓になりたいと。

 

「普段はとろいのに、一度決めたら曲げんので、よろしくお願いします。」

ついてきた両親が頭を下げた。

 

豆小町は喜んだ。                               ふくは「わかりました。大事に育てて良い舞妓にします」と

両親に誓った。  

 

富山の越後屋

「父ちゃん、いつの間に、帰ってきたがや、いつから聞いとったや」

「たっ君の電話、あれ怪しかったぞ。胸騒ぎしたがや。

父ちゃん急いで帰ってきたがや。そこで立ち聞きしとったがや」

 

「話はやいなー。そんでなカナダに詳しい我が家で、草案作りや」

「国家プロジェクトとやろ、うちだけで決めていいがか?」

 

「良い、良い、うちしかおらんてこの企画練り上げられるの」

「たっ君、パイロットとは、客を安全に目的地までお届けすることだ」

 

「余裕だよ。・・で父ちゃん、紅屋さんにもう電話したん?」

「売れっ子たちや、早めに抑えて、予行練習もせんとな」

 

 ジャスミン「私、カナダに帰ってみるわ、ママにしばらく会っていない」

「そうだね、会って来なさい。糖尿病が悪くなっていないかチェックして

きなさい」

 

勝が薬屋を継ぐことに悩んでいた頃、カナダに留学した。

 

ホームステイ宅の娘がジャスミンだった。一目惚れだった。

 

ママのローズが木にはしごをかけ、ブルーベリーを美味しそうに

口に入れていた。

マサル、次、ここのブルーベリーとれ」

ローズは勝をこきつかった。

トロントバンクーバーは飛行機移動だった。

 

ローズは当時から糖尿病を患っており、数種類の薬を飲んでいた。

ブルーベリーの試食が災いしインスリン注射をするようになった。

 

毎食前に血糖値を測定し、医師から決められていたインスリン量を注射する。

奇しくもインスリン発見者は、カナダの医師、フレデリックバンティング。

 

ローズはのみ薬、インスリン治療について、知らず知らずに

勝に説明していくようになる。血糖値を測るのは勝の役目になった。

 

「ママ、ブルーベリーの食べ過ぎだよ、血糖あがるよ」

ジャスミンと勝が言っても聞かない。

 

決められた薬屋の跡継ぎ、個人ではなく、薬屋としてまとまることへの疑問。

そんなものは贅沢な悩みだった。

 

ジャスミンをお嫁さんにします。お薬の勉強して、ママ助けます。」

ご縁は神様のはからい。

そして、ジャスミンは勝と結婚し富山にやって来た。

    

 

 

 

 

 

 

 

 

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