行商のおばぁちゃんから買ったアマダイの干物400円
押し花教室の同級生ライバル
ゴクミから電話だ
「みんな展示の準備しているよ
早く来てね」
町の文化祭が明日から始まる
押し花教室の生徒さんも
公民館の一階で作品を展示するらしい
今日も暑い
出かけるのは、面倒だけど
教室の生徒さんとの
輪を乱してはいけない
箱に仕舞ったままの自分の作品を
かかえて車に乗り込む
後部座席には、隣町の骨董屋さんに
鑑定してもらおうと蔵にある茶碗を
入れた段ボール箱を置いてる
メルカリにはまっている最近の私
購入者さんとのやりとりが楽しい
数百円稼ぐために出展品を磨き
写真撮影を工夫し、梱包グッズに
こだわり、良い評価が得られると
ホッとしたり
蔵の茶碗の価値を知るため
今日こそ、骨董屋に行かねばならない
目玉はこれ
天保9年作の赤い漆器
「なんでも鑑定団」は私の大好きな
番組だ
クズかと思われていた品に意外な
鑑定額がでる
箱が大事、箱書きが大事
町の公民館に到着
暑い
ゴクミの姿が見える
長い髪を後ろに束ねており
足が長いからパンツが似合う
綺麗に化粧していて
きちんとしている
ゴクミの作品
先生から美術展にだしてと
言われている
フン!
教室の生徒さん達と溶け込み
お喋りしているゴクミ
何でも上手くてイイネ
私、今日は忙しいから
行くわ
隣町の骨董屋さんには
アポを取ってある
道中、気温35度の掲示板を見て
気を失いそうになる
異常気象だ
暑い熱気にハンドルを握る腕が痛い
紫外線を避けるようにしているけど
どうでもいいか
暑いと何もかもがどうでもよくなる
希少価値を期待して
骨董屋のご主人に箱書きのある
赤い漆器を見せる
「大したもんじゃないな」
じじぃ!
目は確かか
ならば
これは?
メルカリで送料込み1000円で
売った品
「イマリだな、これは価値ある」
「イマリ?、うち、そんな所に親戚いませんが」
「昔は、船で運ばれて来たんだ
伊万里があっても不思議じゃないね」
「買ってくれる?」
「良いよ、10枚単位で一万かな」
残念、先日一枚売ってしまい19枚しか
残っていない
後日、10枚持って行く事にした
帰り道、リヤカーを押して行商している
婆ちゃんとすれ違う
ここは漁師町、
生きの良い魚介類を売っているはずだ
脇に車を止めてから
「待って、まってぇー」叫びつつ
婆ちゃんを追いかける
アマダイの干物がふっくらして美味そうだ
屋根?に魚をぶら下げ、
商いしながら干物ができるという
一石二鳥だ
「美味そうだね」
「そりゃ獲れたてだから美味いよ」
こういう場合、値切りしたり
おまけをつけてもらうのを
楽しむものだが
暑いからサッサと買う
藁でつるしている
紙で包むのが素朴で良い
二匹で400円
婆ちゃんはきっと金持ちだ
古いリヤカー、麦わら帽、安そうな服
魚はきっと知り合いから
安値で仕入れる
塩を適度に振って干す
一人でのんびりと作業し、売る
単価は低いけど、地味に売れる
小金がたんまりあるはずだ
帰宅し干物を焼く
焼き始めから
良い香りがした
予想以上に
美味かった
塩加減ばっちり
ごちそうさま
婆ちゃんにまた会えるかな