続:走る男の謎を80%解いた
午後3時過ぎ、町の美容院に向かって車を走らせていた。
見つけた!
走る男!
前方のトンネル近くを走っている。
トンネルは車用と歩行用の二つがある。
私は車用のトンネルを過ぎた道沿いの広場に車を止めた。
歩行用のトンネルからでてくる男を待ち伏せた。
「怪しいものではありませんが、ちょっと聞きたいことがあるんです」と話しかけた。
男は足踏みしながら私を見る。
「あのーー時々見るんですがどうして走っているんですか」と直球で聞く。
男は笑顔を見せ「血糖が高いんです」
「あのーーどのくらい走っているんですか?7月から見かけるようになったんですが」と直球で聞く。
「自分、隣町に家あるんですけど、40になってから太って、だいたい30キロくらい
走ってます」男は笑顔で返事してくれるが、足踏みは止めない。
「30キロ! 」私は驚きの声をあげた。
そう言われると、確かにぽっちゃり体形がしぼられている。
「あつい時も走ってましたよね、すごいですね」
男は良い人らしく微笑んでいる。
「じゃ、車に気を付けて、ありがとうございました」私はお礼を言って
走りさる男の姿を見送った。
男の仕事はわからない。
男の生活背景はわからない。
でも、走る理由と体に気をつけていること、悪い人ではないことが
解り、私の気がかりは減った。
血糖は相当高かったかもしれない、なにせ30キロ走りこんでいたんだから。
今は、標準体重になっている体形だった。
皮下脂肪どれだけかな。
血糖値いくつかな。
彼の検査データーが見たい。
肥満体のぐうたらな私よりきっといい数字かもしれない。
そのうち私も走る女になるかもしれない。
彼に検査データーが見たい。