柿は買いません。盗むんです。
犬の散歩をしていて思うのは、田舎に住んでいて良かったなって事。
空気が澄んでいて、夜の星が綺麗だ。
月光があれば電気をつけることもないくらい。
青い海には小さな船がトロトロ進んで漁をしている。
最近ではイルカを見かけるようになった。
浜に降り、岩の下に手をあてると、ここらでいうシタダミが取れる。
シタダミはゆがいて、殻から身を取り出して食べると美味い。
酢味噌であえると酒のつまみになる。
珍味だ。
アワビは高級品だから取るには「権利」「掟」があるらしく勝手にもぐって取ったら怒られる。
私の村は過疎化がすすみ、外で遊ぶ子供は見なくなった。
年寄り達も昔ほど行き来をしなくなっている。
行き来していた相棒が寝たきりだったり、この世にいないからだ。
また、無神経に顔をだすと嫌われる。
みんな、それぞれに用事や、思いがあり、他人に干渉されたくない時代だ。
鍵をかけ、インターホンを設置し、テレビを眺め過ごしている。
都会ならバス、電車で老人でも気軽に移動でき、お楽しみをもつことができるが、私の村では自家用車がないと生活できない。
田んぼや畑を継ぐ若者はいない。一定の現金収入を得るため、実家を離れ
会社勤めしている。
村は静かになった。
村おこしし活気づく何かが必要だ。
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そして今は秋。
草花が生き生きと伸びをしている。
感動する。
黄色い花、赤い花、白い花。
坂を登れば、黄色い柿。
えー!柿!?
誰も見ていない。
山道には私と犬だけ。
手を伸ばせば簡単に触れる。→もぎとる→ポケットにいれる。
さらに歩を進めると、あるある、いっぱいある、柿。
たくさんは盗らない。
袋ないし。(って駄目でしょう、黙って取るなんて・・💦)
歩きながら柿を食べる。
甘い。美味い。
洗いもせず、皮のままで。
大丈夫。私、胃腸強いんで。
その後、私の散歩の目的は柿を盗るためとなった。
窓から誰かが覗いているかも・・・
そんな時は笑顔を浮かべ、顔を傾け、言うのよ、「頂戴」って。