メタボンの行きあたりばったり

昨年定年退職しましたメタボンです。毒を吐きます。

「それってひどくないですか」 沖縄慰安旅行

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慰安旅行の目的として親睦を深めるという事があげられる。

 

集合場所は空港。行先は沖縄。

 

ダラダラと旅行の参加者たちが集まってくる。

男子は,色はぱっとしないが、よく見ると、ベルトがお洒落

だったり、シャツが新調だったり、靴が磨きこんであったり

薄毛の方は盛り上げて固めていたり、何気にいつもと違う。

 

女子は口紅を変えたり、髪型を変えていたり、高価なバックを

持っていたり、靴ももちろんよそ行き風だ。

化粧もいつもより時間をかけてきている。

服を何枚も準備しているためかばんがでかい。

 

私は外反母趾や加齢とともに甲が横広になったため

いつものスニーカーだ。

服は崩れた体形をカバーするため、とりあえず、袖が通るもの

ボタンが留めれるもの、突き出た腹を隠すものを選んだ。

化粧はしない。目が痛くなるから、いつもとおり、シミシワ、

だらけだ。

 

仲良しのお友達二人を誘っての参加だ。

 

この慰安旅行には3人の若い女子が参加しているのが目玉だ。

f:id:s-dai101030:20171104185718p:plain 色白、お目目ぱっちりのAちゃん(人妻)

f:id:s-dai101030:20171104185417p:plainこちらも目がでかく、色白。ツナギを着ているBちゃん

f:id:s-dai101030:20171104184459p:plain9頭身美女、Cちゃん

 三人とも良い臭いがする。

 

三人を守るのは、年配者の私の役目って一人で思っていた。

 

勤務していた企業は、以前なら、旅行会社がお膳立てしてくれる

バスに乗り、観光地を巡り、夜は宴会というパターンだった。

 

不景気になると同時に、団体行動を嫌う世代が出てきたので

慰安旅行は事務の職員が計画し、引率するようになった。

 

例えば今回、ホテルに着いたら数グループに分かれ各自で行動することになっていた。

 

「みなさん、空港からホテルまでは電車で行きます」

引率係のHさんが言う。

このHさん

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仕事ではタイトなスーツを着ている。

どんな仕事でもそつなくこなす「できる人」

人当たりが良いから、上手にみんなをまとめる。

声は癒し系、大声なんてださない。

スポーツも積極的に参加する。

 

私服のHさんの、胸元に彼のセンスの良さが分かる

シルバーのネックレス。

Hさんが動くたびにネックレスも動き、ちょっとヨロメクよ。

 

那覇空港に到着。

 

各自、鞄、スーツケースをもち、電車に乗り込む。

点呼なし。一般人と同じ車内で、揺れながら。

滑っていくスーツケースを足の間に挟む。

(沖縄の人って、目鼻立ち濃いな・・)

電車から誰かが「降りるぞ」と言っている。

 

電車から降りると、今度は歩き。

歩道橋を上がり、降りる。

いつまで歩くのか苦行。

 

「遠いようなので、タクシーで行きます」

 

(Hさん、当たり前だろ、団体旅行でこんな目に

あったことないよ。)

 

ホテルは高台にあった。

(歩いて行く場所じゃないよ。転落死だよ。)

 

夕方だったので、全員貸し切りバスに乗り、夕食にでかける。

肉やエビを鉄板の上で焼きながら、調味料やナイフを

振り回すパフォーマンスを見る。

 

調理人は笑顔がなく、目つきがするどい。

 

昔、外人ダンサーのショーを見に行ったことがある。

どのダンサーも体が綺麗で、最後は腰を振りながら

観客の近くにやってくる。

お目当てのダンサーのショーツにお札を入れる。

 

調理人はダンサーの目つきに似ている。

 

隣の席の

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若者たちブルーハワイやら飲んでいる。

特にBちゃん、酒強そう。

 

帰りのバスの運転手さん

「欲しいものアルカー?。スーパーで買ってきてイイサー」

ホテルはコンビニなんかなかったから、みんな買い出しに降りる。

 

「乗ったか?、デルサー」

(なんて自由なバス。スーパーで停車するバス初めて)

 

翌日、それぞれ、行きたい場所によって、グループになり

観光バスに乗り込む。

 

バスは他の観光客と相乗りだ。

 

「Aちゃん、Bちゃんとケンカしたらしく別行動している」と

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お友達が喋る、菓子たべながら。

「えー?なら私達誘ったら良かったね」

「でも、若い男子とレンタカーで回るらしいよ」

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こいつ達

 

目的の水族館に着いた。

ジンベエザメ とかクラゲを鑑賞。ブルー色は

病んでいる私を癒してくれる。

 

同じグループの男子とは、特にはなすことはなかったが。

点かず離れずの距離感で行動を共にする。

 

昼飯はバイキングにした。一人980円。

女子3人は、1000円づつだして、K君に渡した。

5人でテーブルを囲み、ゴーヤチャンプル、モズク酢、

満腹になるまで食べた。

 

「ちょっと、あんたら、いくら払った?」

K君が聞いてくる。

 

消費税分不足していると言ってきた。

 

私達はドン引き。

(えー、ここはオゴッテくれてもいいはずでは?)

 

不足分、100円をK君にわたす。

 

K君はお金を数え、えんじ色の長財布に入れる。

(ケチ!それも数えた!)

 

「その財布素敵やね、どうしたん?」

お友達はK君に聞いた。

「貰った」と返事するK君。

 

Kはケチだと思いつつ、いくつかの観光地を一緒に回る。

仲がいいわけでもないのK君らと記念撮影。

写真撮る時だけ笑顔。

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毛の薄いK君に災難がおきた。

途中から、雨が降り出した。

K君はジャンパーのフードをかぶる。

シャネルのロゴマークのフード。

 

K君は両親ともに教師をしており、家柄も良い。

結婚できないのは、お母様が厳しいからと噂が

あるが、K君自身の問題もあるよ。

 

お土産を買うのが楽しい私達おばちゃん。

いつも、バスの予定時間に遅れ、相乗りの観光客から

「ちょっと、ちゃんとしてよ」と怒られていた。

 

夕方、ホテルに到着。

ロビーで深刻な表情の二人が電話している。

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(なんかあったな)

「どうしたの」Aちゃんが心配なおばちゃん達。

 

Aちゃんは首をふり「大丈夫です」と返事する。

男の子は電話で誰かと話しているが表情が硬い。

 

今日一日はみんな別行動。

 

K君たちとはもうお別れだ。

 

ホテルで休憩し、おばちゃん3人は誘い合ってホテルをでた。

「美味しい物って、地元の人に聞くのが一番だね」

「タクシーの運転手さんに聞こうか」

 

タクシーの運転手さんは70歳ちかくに見えた。

「美味しい店紹介して下さい」

「どこでも美味いよ。なにが食べたい?」

「地元の物」

 

気のよさそうな運転者さんで、世間話をしながら

走る。楽しかった。

 

着いた所は狭い階段を登った二階にあった。

舞台にはさんしんを引く若い娘とガンガン歌う娘が立っていた。

歌のわからない私でも「これはひどい」と思った。

 

通された個室で海ブドウ、ラフテイ、島らっきょう、魚のから揚げ、ビール何点か注文した。

 

トイレに行ってきたお友達が慌てた様子で帰ってきた。

 

「ねえねえ、みんないるよ、向こうのテーブル席に」

 

「えー!」3人で声を上げる。

 

もう一人が偵察に行き「K君も若い子達もHさんも

全員いる」と報告する。

 

おばちゃん3人は口を閉ざす。

 

(そうか、先ほどロビーで電話してたのは食事の誘いの

電話で、私達だけ排除されたんや。

私達おばちゃんは獰猛でもないし、人には親切だし

ケチでもない。同じ組織で働いている同士だ。

誘うのが筋じゃない?

断わるかもしれないけど、食事行きますよって声かけても

いいんじゃない?

テーブル席には、年配の男子いるよね、あの人には声かけても

私達だけのけ者にするって、その感覚おかしい)

 

私は怒る。心の中で。

 

気落ちしたまま、食事を済ませ、みんながいるテーブル席を

通る。

 

誰も「こっち来いよ」なんて言ってくれない。

 

重い足取りで国際通りを歩き、土産物を物色していた。

 

お友達の携帯が鳴る。(この子は私より10歳くらい下)

「ラインから電話や。カラオケ行くから来いって」

「行ってきてよ。ホテルで待ってるよ」

「ゴメンね、ちょっと行ってくる」

お友達は小走りにみんながいる場所に向かった。

 

今から、3年程前の慰安旅行でおこったお話です。

悲しくも可笑しい現実でした。

 

夜中、カラオケから帰ってきたお友達とK君をネタに

笑い転げました。

 

以後、K君のフードのシャネルのロゴがやたら目にはいるようになり

笑を抑え込むのに苦労しました。

 

おばちゃん達は、夕食なかまはずれにされたという件

については話題にしませんでした。

 

あまりに悲しすぎて。

 

バスの後部座席から、Aちゃんが若い男の子と笑顔で飛ぶ瞬間

を撮影した画像を見ているのを盗み見る私。

 

楽しかったね、あんた達。

 

でも労われよ、同じ人間なんだよ。