家の中にお相撲さんがいる
風呂場の戸を開けるとお相撲さんがいる。
お相撲さんは、横に向いて、つきだした腹を見て笑う。
お相撲さんは、やや高めの風呂椅子に腰かける。
高めでないと、立ち上がりにくいからだ。
お相撲さんの脚は、大根より太い。
足首がなく、重い体重を支えているのは、わらじのような甲だ。
お相撲さんは、熱いシャワーを顔にかける。
お顔のスキンケアには、無頓着だ。
顔の次に首や肩にシャワーをかける。
凝った疲れがとれていく感じが好きだ。
お相撲さんは、丸い腹の下に隠れてしまった陰部を洗う。
お相撲さんは、私だ。
日に日に体が、でかくなる。
理由は簡単、動かないからだ。
熱い日はクーラーがないと死んでしまう。
太っているから、動くとしんどい。
寒い日は暖房のかかっている部屋から出ない。
服で調整すればいいのだろうけど、要は無精者だ。
唯一、食事作りはする。
基本のだしの取り方や肉じゃがはできないが、
なかなかの腕前だと自負している。
炭水化物を取りすぎているため、すぐに腹が減ることが解った。
早速、スーパーに魚を買いに行った。
刺身は嫌い、高いしね。
ちょうど先輩に出くわした。
「魚欲しいけど、白身魚ってどれですか?」
白身魚のフライかバター炒めすることしか頭になかった。
先輩は魚コーナーを見廻し「アジが良さそうだね、フライにすれば?」
「アジ?さばけませんん」
「板さんに、三枚におろしてって言うのよ」
(へー、魚さばいてくれるんだ。)
板さんにアジ二匹いり、二パック渡す。
「魚の煮つけの素」って書いてあるパックが置いてある。
家族は煮つけは、あまり好まない。
私も骨があって食べづらい魚そのものが、嫌い。
でも、今度、「魚の煮つけの素」買って、カレーの煮つけ
作ってみよう。
煮つけって水から魚いれるのか、お湯が沸騰してからか分からない。
私が作ると、味が染みていないんだけど。
料理屋で出される魚の煮つけって本当に美味いよね。
11月末から今日にかけ、母ちゃんの入院、死亡、葬儀などで
とても疲れた。
気持ちは、ゲッソリなのに体重は大きく増えている。
笑うね。
悲嘆にくれる家族なのに、頬に肉がつきエプロンのボタンさえ
止めれなくなった。
先日、町で買った喪服、49日法要に着れなくなったら
どうしよう。
町で売っている13号の喪服って、あれだけだったんだ。
あの喪服もボタンを留められないんだ。
厳粛な場で、笑いを誘う私の太った体。
コロコロの遺族、あまり見かけないよ。
今の時代、みんな健康管理しているから
標準体重を意識している。
まぁ、母ちゃんの儀式が終われば、ウオーキングするよ。
こつこつ、動くの面倒・・・。
家の中の掃除するか、すぐ疲れるけど・・。